20190829 事業承継が問題になること自体が問題だ 超高齢化社会がもたらす多方面にわたる難問のひとつに、経営者の引退に伴う事業承継があって、後継者がいなくて他社への事業譲渡になったり、譲渡先が見つかりにくかったり、廃業するほかなかったりと、多くの困難があるとされています。しかし、冷たく突き放してみれば、事業に価値があれば簡単に承継されるはずであり、承継され得ないのは事業に価値がないからなので、廃業すべきだと考えられます。さて、事業承継が問題になることの深層はどうなっているのか。 地方創生
20190822 かんぽ生命の不正は民営化の矛盾の必然的帰結だ 日本郵便によるかんぽ生命の保険の不適切募集が大問題となっていますが、背景には、論理なき政治的妥協となった日本郵政民営化の不合理があります。即ち、一方で、日本郵便にユ二バーサルサービスの責務を課して、かんぽ生命との一体性を維持させ、他方で、かんぽ生命の全株式売却による完全分離独立を定めたことから、かんぽ生命は独自の企業価値を創造するために、逆に日本郵便に依存して無理な業績拡大を志向せざるを得なかったのです。 日本郵政
20190808 これが老後2000万円報告書の改訂版だ 政治問題に悪用されて有名になった老後2000万円報告書ですが、その主旨は、公的年金は最低生活保障なのだから、各自が自分の定義する豊かな老後生活を思い描いて、その実現のために必要な追加資金を用意すべきだという常識的な提言にすぎません。そして、真の政策上の論点は、提言に実効性をもたせるために、国民の豊かな老後の定義が多様に異なることに対応して、税制を含めた柔軟な老後生活資金形成のあり方を工夫することと、働き方改革を推進するなかで企業責任を明らかにすることにあったのです。 金融行政方針
20190801 金融の王道は信用金庫と信用組合にあり 信用金庫や信用組合のような協同組織金融機関は、金融機関である以前に協同組織であり、その構成員のための金融機能を内製化したものですから、利用者である事業者や生活者が所有する金融機関として、産業と家計を主役とし、自らは脇役に徹するものとして、本質的に顧客本位なのです。ここに、自らを主役と勘違いし顧客不在に陥りがちな銀行との決定的な違いがあり、協同組織金融機関が金融の王道を守る所以があるのです。 金融の脱構築