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「マネー資本主義 -暴走から崩壊への真相-」 2009年10月15日2009:10:15:10:49:33

「マネー資本主義 -暴走から崩壊への真相-」

著者: NHK取材班

出版社: NHK出版(日本放送出版協会)

発行日: 2009/09/25

 これは、同じタイトルのNHKのテレビ番組(NHKスペシャル)の内容を、本に纏めたものです。番組は、2009年の4月から7月にかけて、5回続きで放映されました。番組そのものを、ご覧になられた方も多いでしょう。私も見ました。
 このような専門性の高い内容を、テレビ番組に纏めるのは、非常に難しいのだと思います。番組を見たときは、その難しいことを、上手に仕上げてあるな、という感想をもちました。特に、初回(本でいうと第一章)の「投資銀行」と、第四回(章)の「金融工学」は、よくできています。
 投資銀行という名は、すっかり、「マネー資本主義的貪欲」の代名詞と化したようですね。しかし、地に堕ちた投資銀行には、地に堕ちるに至る歴史があります。その歴史の解説としては、よくできています(ちなみに、私なりの総括は、10月8日のコラム「地に堕ちた「投資銀行」の再興を地域金融機関の手で」を、ご覧いただければ幸いです)。
 また、「金融工学」も見事ですね。金融工学では、例えば、信用リスクは、完全に生身の人間(債務者)と切り離されてところで、完全に一人歩きした純粋な数字上の世界、生きていない統計・確率として、処理されます。番組に(もちろん本にも)登場された方が、純粋に、統計の問題として、債務不履行率を議論するのは、病的でおかしかった。直感的に、「おかしい」という常識が働けば、あのような危機は起き得ないのだ、と思いました。
 金融工学が、統計をみて、裏の人間社会をみていないことについては、宇沢弘文先生が語っておられます(本では、末尾を飾っておられます)。先生は、当事者は、その問題点を知っていながら、自覚的にやっていたのだという、お考えのようです。しかし(もちろん、先生に反論する気など、毛頭ないのですが)、私には、数字の裏の人間社会の現実と、数字とを区別できない、人間の病なのだという感じがしています。
 なお、私は、私なりに、今回の金融危機の背景と、危機後の将来展望について、2009年の初めころ、ちょうど、このNHKの番組の少し前に、「哲学的」な思索を試みました。以下のコラムが、その成果です。ご参照いただければ、幸いです。
1月14・22日    「根本的に向きを変えてしまう小さな境目としての「日本の分水嶺」
2月12・19日    「オバマ大統領就任演説の投資にとっての意味-格差から平均へ
2月26日・3月5日 「オバマ大統領就任演説とプロシクリカリティの問題
3月12・19日    「金融危機にみる日本型金融モデルの理念と小泉改革の功罪
3月26日・4月2日 「他人の損失で自己の利益を得るなかれ

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森本 紀行

HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長

三井生命のファンドマネジャーを経て、1990年1月ワイアット株式会社(現タワーズワトソン株式会社)に入社。日本初の事業として、年金基金等の機関投資家向け投資コンサルティング事業を立ち上げる。2002年11月、HCアセットマネジメントを設立、全世界の投資機会を発掘し、専門家に運用委託するという、新しいタイプの資産運用事業を始める。東京大学文学部哲学科卒。