荘内銀行はなぜ顧客に選ばれるのか?<br /> - 勝ち残りに賭ける、ある地銀の挑戦-

荘内銀行はなぜ顧客に選ばれるのか?
- 勝ち残りに賭ける、ある地銀の挑戦-

著者 宇井 洋
出版社 ダイヤモンド社
発行日 2008/11/28
この「読んで損しない本」では、既に、「地域経済の新生とリレーションシップバンキング-荘内銀行による山形県での実践-」を取り上げています。その中で、私は、「これは、バンキングの本ではありません」、「リレーションシップの本です」と書きました。今回は、同じ荘内銀行に関する本ですが、これは、間違いなく、バンキングの本です。特に、書名にもあるように、顧客の視点に立ったバンキングの改革の本です。
銀行における接客のあり方については、なるほど、変えようと思えば、かくも、変え得るものなのだな、と妙に感心してしまう本です。
この10月1日に、この荘内銀行と北都銀行の共同持株会社フィデアホールディングスが発足し、その取締役会議長に、元荘内銀行頭取の町田睿氏が就任しています。本書は、この町田元頭取による経営改革を取材紹介したものです。
私自身は、町田議長を直接存じ上げていますし、同行の、インストアブランチ戦略、女性登用、積極的な投資信託販売戦略、持株会社を通じた広域連携戦略、など数々の斬新な経営戦略については、よく知っているつもりでしたが、本書によって、改めて全体像の整理ができました。
それにしても、本書の第五章の表題「地域の発展のために、リスクの取れる銀行」ということに、リレーションシップバンキングは、尽きるのでしょうが、地域の発展のためのリレーションシップ構築を、リスクをとるバンキングへつなげることが、地道な長い取り組みであることは、改めて感じさせられます。
リレーションシップバンキングについては、以下の関連コラムも、ご参照下さい。

8月27日 「取引(トランザクション)金融と関係(リレーションシップ)金融
9月 2日 「地域金融の「地産地消」
10月8日 「地に堕ちた「投資銀行」の再興を地域金融機関の手で
10月15日 「金融の社会的機能としての投資銀行業務

この本を紹介した人

森本 紀行

HCアセットマネジメント株式会社代表取締役社長

東京大学文学部哲学科卒業。ファンドマネジャーとして三井生命(現大樹生命)の年金資産運用業務を経験したのち、1990年1月ワイアット(現ウィリス・タワーズワトソン)に入社。日本初の事業として、企業年金基金等の機関投資家向け投資コンサルティング事業を立ち上げる。年金資産運用の自由化の中で、新しい投資のアイディアを次々に導入して、業容を拡大する。2002年11月、HCアセットマネジメントを設立、全世界の投資のタレントを発掘して運用委託するという、全く新しいタイプの資産運用事業を始める。