老後2000万円報告書

2019/09/25更新
2019年6月3日に、金融審議会の市場ワーキング・グループが公表した「高齢社会における資産形成・管理」と題する報告書のこと。このなかで公的年金に加えて生活水準を上げるための自助努力が推奨されていたため、公的年金の給付水準維持に関する政府責任の後退を示唆するものとして、大きな政治問題に発展した。老後2000万円報告書と呼ばれているのは、高齢夫婦無職世帯の家計の平均において公的年金給付を約5万円上回る支出がなされている事実について、「不足額約5万円が毎月発生する場合には、20 年で約1,300万円、30 年で約2,000万円の取崩しが必要になる」と記述されていたことによる。政府の公式見解では、この差額約5万円は豊かな生活のための追加支出であって、不足額ではないのだから、政府は、直ちに、この報告書の記載を不適切であると認めたが、野党は、参議院選挙を直前に控え、政治問題化を狙ったのである。

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