2013/4/9開催 「産業金融フォーラム」レポート(2)―パネルディスカッション①―

HCセミナー


 4月9日(火)開催、「産業金融フォーラム」のレポート第2弾。パネルディスカッション①では、「産業金融の再構築」をテーマに、日本投資顧問業協会会長・岩間氏、住友商事株式会社専務執行役員・猪原氏、日本政策投資銀行取締役常務執行役員・古宮氏が登壇。資金供給者である投資運用業者、大口の資金調達者であると同時に最大規模の投資ファンドでもある総合商社、長期資金供給者としての銀行それぞれが、産業金融という軸の中でどのような役割を担い、そしてどのような展望を描いているかをお話しいただきました。

■パネリスト(写真左から)
・住友商事株式会社 専務執行役員 猪原弘之氏
・日本投資顧問業協会 会長 岩間陽一郎氏
・日本政策投資銀行 取締役常務執行役員 古宮正章氏
・(コーディネーター) HCアセットマネジメント㈱ 森本紀行 

◎レポート(1)―基調講演―のレポートはこちら




住友商事株式会社 専務執行役員
猪原弘之氏:


 総合商社の場合、事業機会は豊富で、銀行等との共同事業化によって大規模な事業も可能となります。新たな産業金融に関しては、運用業界の企画力が弱く、個別案件への銀行の影響力が大きい、というのが現実です。「産業オーガナイザー」としての商社の強みを活かし、機関投資家との対話を通じて、産業金融のイノベーションを進めたいと考えています。


日本投資顧問業協会 会長
岩間陽一郎氏:


 投資家のエージェントとして、投資運用を業として行うことが運用会社/機関の役割です。運用機関に求められるもは、顧客第一主義であること、透明性、独立性、知見の高さ。責務を全うするためにはどれもが必要です。また、企業価値向上に向けて、運用業者が責任投資家として企業と対話する、ベンチャーキャピタリストの役割を担うことが望まれます。



日本政策投資銀行 取締役常務執行役員
古宮正章氏:


 銀行の役割は事業そのものを行うことではなく、企業価値を「見える化」し、企業の背中を押してあげることです。だからこそ、融資・投資をしていく中での関係の積上げや情報の蓄積が重要だと考えています。資金調達源泉の多様化、アセットファイナンス機能の活用、外部のアイデア・資金の活用等に取り組んでいきます。



 日本は運用業の歴史が浅く、GDPや金融資産に占める割合が低いため、世界的な競争力を持つ運用会社を育てて行くことが課題となっています。そのためには金融機関と産業界の融合が欠かせません。企業戦略に関して運用会社が対話できる能力を養い、緊張を伴う対話を通じて投資対象を立ち上げて行くことが必要となります。そうした緊張感を持ったパートナーシップが構築できれば、銀行に依存しない、より健全なガバナンスが実現されるでしょう。産業金融における資金調達手法ならびに担い手の多様化が、産業金融の更なる発展につながることが期待されます。

(文責:HCアセットマネジメント株式会社)



※引き続き、パネルディスカッション②のレポートも近日中にアップいたします。

◎レポート(1)―基調講演―のレポートはこちら