2013/1/9開催 HC資産運用セミナーvol.061「実物資産投資とアセットファイナンスの意義と方法」セミナーレポート

HCセミナー
 アセットファイナンスとはその名前の通り、アセットを使ったファイナンスのことです。資金の必要性が発生したとき、皆様はどのように調達するでしょうか。最初に資金を「借りる」ということを考えますか? むしろ「借りる」より「売る」ということを先に考えるが一般的だと思います。

 企業の一般的な資金調達方法としては、株や社債の発行、銀行からの借入、資産売却の三つがあります。株式の発行は最近では珍しくなっています。そもそも日本の企業はほとんどが非上場企業です。また社債の発行も少ないのが現状です。日本においては、「銀行借入」が主流なのです。

 借金をして資金調達するよりも、資産を売却するほうが簡単です。資金調達の容易さでみれば、1)資産売却、2)借入、3)株、債券の発行という順番です。しかし日本では、一般的に資産売却に抵抗があります。東京電力は先頃、非中核資産であった通信会社の株式売却や社宅を売却し、資金調達を行いました。

 資産売却による資金調達手法といっても、東京電力のように遊休資産を売却する「単純売却」の他に、「金融債権の流動化」や「事業運営上必要な資産を流動化」することによる資金調達手法があります。ここでは、最後の事業運営上必要な資産を流動化する手法をアセットファイナンスと呼んでいます。

 例えば、航空会社が航空機を直接保有せず、銀行からリースを受ける場合が該当します。航空会社にとって飛行機は事業運営上必要な資産ですが、保有する必要は必ずしもありません。リースという形態をとることで、賃貸料を支払いながら、事業運営が可能だからです。

 経営環境が厳しい航空会社自体は融資対象として、貸出しにくい対象と一般には考えられていますが、飛行機は、稼働している限り、一定の収益を生み出すことから、融資がし易い対象です。これは航空会社に限らず、海運業界や電機業界等、他の産業界でも、資産を活用した調達が可能です。

 アセットファイナンスを通じた資金調達は、借入に偏重した従来の銀行や企業のあり方を変化させます。また投資家にとっても新しい投資対象創出の機会につながります。ゆえに、アセットファイナンスを活用した日本の資本市場の構造変化は、有効な投資機会となり得るのです。

  
 (文責:大橋理瑛/金田明)

  当日配布資料をPDFでダウンロードすることが可能です。

  詳細レポートをご希望の方は、下記アドレスまでお気軽にお申し付けください。
  HCアセットマネジメント運用部:research@hcax.com




■セミナーで実施したアンケートの集計結果

Q1 不動産ファンドや、インフラストラクチャ・ファンドの中には、開発案件を含むものもあり得ます。つまり、既存の稼動している不動産や施設の取得だけではなく、新たなる建設による取得も可能にしているタイプのものです。これに関して、一番近いと思われるものを、一つだけお選びください。

<クリックして拡大>
1.運用者の技術は、基本的に、金融に関するものなので、既存のキャッシュフロー 評価はできても、新規の開発を行うことまでは、技術的に無理なはずである。故に、開発は行うべきではない。
2.既存の物件といえども、維持管理や価値上昇のための追加投資等は行わざるを得ないのだから、運用者の能力には、新規開発もできる程度の技術を含んでいるはずだ。キャッシュフローが合理的に読めるような案件を厳選して、一定の上限をつけて行う限り、問題はない。
3.不動産やインフラストラクチャの運用者は、当然に、開発もできるだけの十分な専門的技術を備えていなければならない。新しい投資機会は、積極的に、開発すべきである。
4.その他
5.無回答

Q2 もしも、実物資産投資を検討するとしたら、その動機は、どのようなものでしょうか。一番近いと思われるものを、一つだけお選びください。


<クリックして拡大>
1.安定的なキャッシュフローを得るインカム資産として。
2.インフレに対するヘッジ資産として。
3.資源の希少性が作り出す値上がり期待の投資機会として。
4.調達の多様化が作り出すディスカウント投資の投資機会として。
5.その他
6.無回答

Q3 金(金の地金)は、機関投資家にとっての適格な投資対象だと思われますか。


<クリックして拡大>
1.適格な投資対象である。
2.適格な投資対象ではない。
3.無回答








セミナーレポートは以上になります。