ファイナンスの世界史 = The History of Finance : 金融技術と金融ビジネスの歩み

ファイナンスの世界史 = The History of Finance : 金融技術と金融ビジネスの歩み

著者 大村 敬一
出版社 日経BP日本経済新聞
発行日 2025/07/21
 この1年間で読んだ本の中からの推薦になりますが、日本経済新聞出版、大村敬一著、「ファイナンスの世界史 金融技術と金融ビジネスの歩み」をお勧めします。
 本書は十字軍や大航海時代の遠征資金の調達、ロンドンの金匠銀行に拠る信用創造(レバレッジ)の始まり、産業革命を通じて公共から民間への証券ファイナンスの拡大、民間エクイティファイナンスの勃興、19世紀初めの資本構造階層化からのメザニンファイナンスの登場、中流層への運用ニーズの拡大、南北戦争後のインベストメントバンクの登場、20世紀初頭のPE登場、サブプライムを含む今日の金融まで欧米のファイナンス市場の歴史書ですが、日本の金融との比較や、マイケル・ミケルソンの栄光と挫折等の有名人のコラムも随所に書かれており、大変読みやすい「投資の歴史書」です。
 40年前の入社試験の際に銀行に入りたい事由として「銀行は信用創造ができる」と言っていたことを思い出しますが、この本を読むとファイナンスの長い歴史の中でも常に「レバレッジ」が「信用創造」の核であり、同時に具現化された「レバレッジファイナンス」の歴史はまだ短く、これからも色々な変化が予見されることを学ぶと思います。

この本を紹介した人

宮崎 直

ティール・メザニン株式会社代表取締役社長

1985年に富士銀行(現みずほ銀行)に入行。国内外営業拠点、FA業務を経て、2000年に富士キャピタルマネジメント(みずほキャピタルパートナーズ前身、現MCPパートナーズ)に出向。以来、PE投資、バイアウトファイナンスのアレンジ、M&Aアドバイザリー業務を担当。2005年に未だメザニン投資が一般的でない中で、本邦初の銀行系メザニンファンドを創業、以降メザニン投資業務の専管責任者として従事し、2021年のMCPメザニン(当社前身)設立より現職。実質創業者で、顧客の事業や財務戦略に沿った、助言型の投資を得意とし、当社を国内主要メザニンファンドに育てた。