無敵のグローバル資産「航空機投資」完全ガイド 増補改訂版

無敵のグローバル資産「航空機投資」完全ガイド 増補改訂版

著者 航空機投資研究会
出版社 幻冬舎メディアコンサルティング
発行日 2022/9/20
 本書は、投資家や実務家の間で注目を集める「航空機投資」の全体像を明快に解き明かす一冊です。不動産やプライベート・エクイティと比べると馴染みの薄いこのアセットについて、制度、市場構造、リスク要因、そして具体的な投資スキームに至るまで、多角的な視点から丁寧に解説しています。

 「なぜ航空機が投資資産として成り立つのか?」「リース市場や残存価値はどう評価されるのか?」といった疑問に対して、実務に基づいた事例や定量的なデータを交えながら、平易な言葉で答えています。金融やファンド投資に不慣れな読者にも配慮された構成で、これから学び始める方にとっても最適な入門書です。

 なかでも印象的なのは、航空機投資が金融・実物資産・国際ビジネスの交差点にあるという点です。たとえば新造機は1機あたり200億円前後と非常に高額ですが、7~10年程度使用された中古機であっても、依然として数十億円規模の市場価値を持ち、リースや売却を通じて世界中で活発に取引されています。加えて、機体としての運用が終了した後でも、エンジンや一部の部品には高い資産価値が残り、他の機体に再利用可能です。こうした残存価値の存在が、航空機の投資対象としての下支えとなっています。

 このように、航空機は長期間にわたり安定した価値を保ちつつ、継続的に収益を生み出す実物資産であり、グローバルなリース市場やセカンダリーマーケットの存在によって、資産としての流動性と透明性も確保されています。こうした構造は航空機投資ならではの魅力といえるでしょう。

 今後ますます注目されていく航空機投資の実像と可能性を知る手がかりとして、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。

この本を紹介した人

加藤 浩人

HCアセットマネジメント株式会社投資運用機能所属

2020年にHCアセットマネジメント株式会社に新卒で入社。現在はアナリストとして主に投資機会の調査やファンドの選定・モニタリング業務に従事。