2021/2/16(火)開催 HC資産運用セミナーvol.158『ポートフォリオ管理の理論』セミナーレポート

HCセミナー
■動画ダイジェスト




 金融は金融知識がないどんなお客様にもわかる、経済に立脚した説明をしていくことが必要である。結局、個人は合理的な決断をしていて、昔から人気があるのがアパート経営。賃料収入で金利生活を送り、土地という元本は棄損しない、リターン予測性があり、計画が立つので安心して投資ができる。また預貯金が絶対的に選ばれていることも同様に、元本が絶対に棄損しない、と安心することができるからである。資産運用は、保守的な運用で元本の保全ができ、安定的なインカム収入が見込めて運用ができる、そういうものに投資することが絶対に重要である。予測可能性と安定インカムに帰着するのである。たとえ、リターンが変動してインカム収入が大きく増えても減っても、購入できる車のスペックやランクが変わってくることはありうるが、車の購入自体が消えてなくなることはない。また、元本価値が保全されているので安心して投資の果実を消費できる(例えば奨学金、もしくは年金生活者のお金の運用)、そんな資産運用をしていくべきだ。ただし、ギャンブルのような投資も否定するわけではなく、個人の需要に応じていれば、いろいろな運用があってよい。

 我々が投資するのは、予測可能なものに限っている。予測可能なものはインカムの量が少ないため、インカムの質を高める努力が必要である。企業が収益を上げて、まず充当するのは金融債権である社債や融資で、そういったものは絶対とりっぱぐれがないがリターンは低い。一方で、株主の弁済順位は最後だが、一番たくさんもらえる。不動産が面白いのは、賃料だから弁済順位は高くて確実なのに加えて、リターンは利息よりずっといい。余りがたくさん出る会社の株式は、投資家が得られる分が多いが、なかなかそういう会社は少ない。航空会社の昨今の状況はとても悪く、航空会社の株式や金融債権者には都合が悪いが、航空会社に飛行機をリースしているリース会社には一定の賃料が入ってくる。つまり、投資できる株式は、様々な条件をクリアした狭い範囲で、アクティブ戦略を極めている運用会社となり、きわめて少数。また一番大切なこととして、事業キャッシュフローが安定している会社がよい。そして、できる限り経営関与が可能な対象に投資することで、リスク管理がしやすくなる。
 
 自身のリスクアペタイトの対象として、1.意図的に取る本源的リスク 2.リスクを取ってそれに付随するが最小化するようコントロールするリスク 3.取ってはいけないリスク。この3段階で資産運用は成り立っている。投資対象にはどんなリスクが潜んでいるのかを認識して、どういう保全、対策をしたかが重要なのである。
 航空業界に投資して資産運用しようとしたとき、空運産業の成長を本源的リスクとすると、航空会社には経営リスクや財務リスク、価格競争に伴う破綻リスクがあり、これらはリスクコントロールの対象となる。航空機を購入する場合には、レバレッジが大きければ財務リスクが大きいので、リスクを最小化するように管理していく必要がある。また一方で、旅客機を貨物に転用するなど似たようにして非なる事業への展開する場合は、本事業の専門性と比較して専門的な能力に劣る場合が多いので、リスクとしてはとるべきではない。



以上

(文責:仙波、大山)

当日配布資料をPDFでダウンロードすることが可能です。




■セミナーで実施したアンケートの集計結果

Q1. 現時点で、世界の全ての投資対象を踏まえて、諸客観条件のもとで、最高度の創意工夫をしたとして、円ベース(為替全てヘッジ)のインカム戦略として合理的に期待できるリターン水準(主観的な、また希望的な期待ではなく)は、どの程度でしょうか。ただし、全て流動的と考えられる資産だけで、構成するとします。

(     )%

Q2. この数字は、期待水準と比べてどれくらい乖離がありますか。

(     )%

Q3. 期待水準を満たしていない場合、差額はどのように上乗せしたいとお考えですか。

1. 株式などキャピタルゲインが期待できる資産を組み入れる。
2. 期待収益率が高い非流動的な資産の組み入れを考える。
3. 株式等と非流動的な資産両方を組み合わせる。
4. 現投資環境下無理をする必要はないと考え静観する。
5. その他(               )

Q4. 非流動性な資産の組み入れの上限はどの程度が適切とお考えですか。


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