2020/6/16(火)開催 HC資産運用セミナーvol.148『社会常識でわかる投資の基本』セミナーレポート

HCセミナー
■動画ダイジェスト




 リターンとは投資資金の回収のことで、投資は回収しないとそもそも成り立たない。投じたものが戻ってくることによってはじめて意味があるので、単に株式の時価が上がって喜んでいても、回収するまでは意味がない。

 プライベートのスキームでは、投資したお金を繰り返すというプロセスを繰り返す。回転率が高いこと、投資期間が短いこと、回収速度が速いことなどによってリターンは上がるが、回収速度を早めて高リターンで回収できても更に投資しようとはせず、胡坐をかいて休んでしまっている人が多いのが、現状である。プライベート投資では、キャピタルコールによってお金を継続的に払い込み、数年後には払い戻しがスタートする。資金が出ていく、戻ってくる、を繰り返すうちに、全体としては払い込んだ金額よりも、払い戻された金額の方が多くなる、という投資手法である。
 
 一方でパブリックなもの(流動性のあるもの)は、出口がない(終わりがない)。売るときは、売った利益で別の投資対象を買った方が利益が出る場合にのみ行われ、買うときは、出た利益分で安くなったものを買う、ということを何度も繰り返すのである。

 しかし現在では、投資の常識であるはずの、お金が出て行って増えて戻ってくる、という実感を持つことが難しい。今の資産運用で最も欠けていて問題とするべきは、投資して増えて戻ってくるという、投資の基本中の基本の肌感覚が全く無い現状である。その理由は、現在の投資には規律がないからである。一方でプライベート投資は、有効期限が決まり、必ず出口がある。入口と出口さえ決めて、保有期間中にリースに貸出してリース代金を受け取ったり売却したりして、元本を回収して出口に向かう。

 例えばプライベート投資の一例として、航空機がある。航空機は、一定の機齢を超えると規制がかかり飛行できなくなるため、そのような航空機をスクラップ価格で安く買ってアフリカのような規制の緩い地域で飛ばし、古くなったらまたスクラップで売る。100で買って100で売れるが、保有期間にリース料が収入としてあるため、このような投資は安定しているのである。

 これこそが昔から言われる資産運用である。しかし、公開株式を売買したり、債券を運用したり、インデックス運用などの運用手法が普及したことにより、資産運用のリアル感が乏しくなった。そもそも今日の株式運用では、良い運用会社が良い銘柄を20銘柄に制限してアクティブ運用をすると、資金が集まってきて規模が大きくなり、結局銘柄数が増え、最終的には大きな運用会社に吸収されてしまう。そして今日のこの構造により、新しく良い会社を創る人が減り、資産運用業界の衰退に繋がっている。

 リスクをとればリターンが出るとは絶対に限らない。かつては、成長性を期待して日本の株式を買っていても良かったが、今日の世界、特に先進経済圏はマイナス成長が続き、資本の利潤率が0になって久しい。このように環境が激変しているにもかかわらず、今も相変わらず株式運用に期待してしまうのは間違っている。株式が投資対象と漫然と考えているが、株式運用とは何か、株とは何かという徹底的な議論の上で初めて、投資対象となるのである。例えば、電力会社の株式ではなく、LNG火力発電建設の、設備投資になら資金投入する、などと条件をつけて資金調達する手段が、世界では一般的になりつつある。

 企業年金など投資のサラリーマン化は進んでいる。しかし社長や財務部長が投資を理解できない根本的な原因は、単に知識がないからなのか、運用側の説明が悪いからなのか、それとも常識的に理解出来ない運用だからなのか、振り返って再度考える必要があるだろう。



以上

(文責:仙波、大山)

当日配布資料をPDFでダウンロードすることが可能です。




■セミナーで実施したアンケートの集計結果

Q1. 金融は多様化し、株や債券など、伝統資産以外の手法を用いた金融の存在が大きくなっています。 御社の取り組みについて、最も近いものを、一つお選びください。

1. 既存の枠組みにとらわれず、広く投資を行っていきたい、または既にそのように行っている
2. 広く投資機会を活用したいが、組織の説得など様々な制約で困難である
3. 興味はあるものの、どのようにアプローチしてよいかわからない
4. 伝統資産のみで満足している

Q2. 「リスクアペタイトフレームワーク」とは、リスクテイクの対象(意図的に取るリスク)と、リスクマネージの対象(管理すべきリスク)とを明確にする実践的な手法です。このようなリスクの考え方について、最も近いものを、一つだけお選びください。

1. 以前からこのような考え方をしている
2. 活用していきたい
3. 活用していきたい。既存のポートフォリオの見直しになりそうだ
4. 活用していきたいが、具体的な取り組み方がわからない
5. 労力を考えると導入は難しい
6.  (あまり)良い方法だとは思わない

Q3. 日本の産業の明るい未来にとって、確定給付企業年金は、どのような位置づけにすべきとお考えでしょうか。一番近いと思われるものを、一つだけお選びください。


<クリックで拡大>
1. 日本産業の国際競争力は、製品・サービスの質の高さに依存する。その質を維持するためには、雇用の質が重要となることから、安定雇用の柱として、改めて、確定給付企業年金は戦略的に重要なものとして再認知されるべき。
2. 確かに、安定雇用は重要だが、確定給付企業年金は、企業の財務的不確実性を大きくしてしまうので、確定拠出等への移行を通じた相対的縮小は、不可避。
3. グローバル競争に勝ち抜くためには、確定給付企業年金は、日本企業の人事制度として、不要である。
4. その他


アンケート結果をPDFでダウンロードすることが可能です。