Q1. 御社の投資哲学と追求されている収益源泉について、詳しくお聞かせいただけますでしょうか。
・ 様々な理由により割安な状況に置かれた株式の中で、それら割安状況の解消が見込める銘柄を、リサーチ活動を通じて抽出、投資することで、高い超過収益の獲得を目指します。・ 一般的に株式市場では有望株や優良株が注目されがちで、通常高い株価で取引されていますが、当ファンドではそれとは逆に、問題を抱えた株や不人気株に注目しています。
・ 有望株や優良株の中にも時間がたつに連れ衰退していく企業があるように、問題を抱えた株や不人気株の中にも、経営者の適切な判断と実行力で復活する企業は少なくありません。
・ これらの銘柄は、不人気である分株価は非常に安く放置されており、問題点が解消された場合は、不人気であった分だけ非常に高いリターンを獲得できると考えられます。
・ 収益源泉として、「事業構造・内容の再構築」「実力の再評価」「行き過ぎの修正」の3パターンを主に追求しています。
・ 「事業構造・内容の再構築」は、経営者の適切な判断と実行力で企業が抱える課題が解消され、業績等が大きく改善するパターンです。「実力の再評価」は、高い実力があるものの、IR活動の不足やセルサイドカバレッジが無いなどの理由で注目されていない中小型株が、業績拡大等で注目され正当に評価されるパターンです。「行き過ぎの修正」は、市況や需要サイクル、為替変動などの一時要因に対して、株価が過度にネガティブに反応した場合に投資し、過度な悲観の修正を狙うパターンです。
・ 異なるパターンへの投資が組み合わされることで、安定したリターンの獲得が可能となっています。
Q2. その収益源泉を実現するために、どのような投資プロセスを採用されているのか、ご教示いただけますでしょうか。
・ 調査対象の絞り込みについては、単にバリュエーション面から割安という理由で抽出するのではなく、様々な観点から市場に嫌われていると判断される銘柄を抽出しています。・ 例えば、株価騰落率、ROEといった定量的な指標以外に、企業をカバーするセルサイド・アナリストが減少しているとか、決算説明会参加者が少ない、といった定性的な視点を加えています。また、企業が変化するきっかけの一つとして経営者の交代は重要なポイントとなりますが、社長交代企業に注目するといったことも行っています。
・ 絞り込んだ調査対象について、割安状況の解消の可能性という一点に絞って深掘り調査を行います。
・ 収益源泉の主要パターンある「事業構造・内容の再構築」については、企業が抱える課題と、その解決策にフォーカスしてリサーチを行い、課題解消による企業価値向上への確信度が高まれば投資を実行します。
・ 競合他社への取材、工場・店舗見学など周辺取材を重ねることで、リサーチ精度向上に注力しています。
Q3. ポートフォリオ・マネジャーとして最も重視されていることは何でしょうか。また、常に心がけていることや、逆にしないと決めていらっしゃることがあれば、ぜひお聞かせください。
・ 定性判断を重視し、割安状況の解消の可能性が高い企業を厳選することを心がけています。・ PBRやPERなどのバリュエーション指標が低位であっても、その背景となる課題の解消が困難と判断される企業には投資しません。その結果、万年割安株に投資するバリュートラップを回避できると考えております。
Q4. お客様の資産保全のためにどのような点に留意されているのか、お聞かせいただけますでしょうか。
・ 投資した後のリスク管理の段階では、課題解消への期待が低くなってしまったにも関わらず保有し続けている状況をリスクと考えています。企業訪問、株価騰落率、ニュースフローの確認等を通じて、課題解消の可能性の低下や新たな課題が発生していないかについて、モニタリングを徹底しています。Q5. 現在と10年前とでは、経営者の考え方や投資環境にどのような変化があったとお考えでしょうか。
・ 2023年3月末に東京証券取引所が上場企業に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請したことに加え、コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コード、伊藤レポートなどを経て、経営者の株価や企業価値への意識は大きく改善していると考えています。10年前は、株価への関心が低い経営者も多く、株式市場との対話にも消極的な企業が多数存在していましたが、この状況は一変しています。・ 株価への意識や株式市場との対話に前向きな変化が見えてきた一方で、日本企業の中には、ガバナンスの改善等により収益力や市場からの評価の大きな変貌の可能性を秘めた企業が依然として多数存在しています。我々は、このような企業価値の向上が見込まれる企業を発掘することに加えて、ステークホルダーの一員として長期の時間軸で対話を行い、投資先企業の企業価値向上に少しでも貢献することで、ファンドのリターンの最大化を目指しています。
Q6. 日本企業の事業価値向上のために、企業が取り組むべきことや、金融業界としてどのような支援ができるとお考えでしょうか。
・ 日本企業の中には、収益力が低く、市場からの評価も低位にとどまっている一方で、大きな変貌の可能性を秘めた企業が依然として多数存在しています。・ 日本企業の価値向上のためには、事業ポートフォリオの見直しや、設備投資・研究開発投資・人的資本への投資等を含む経営資源の配分を最適化する必要があると考えます。
・ 金融業界としては、ステークホルダーの一員として長期の時間軸で対話を行い、投資先企業の企業価値向上に少しでも貢献することが必要だと考えます。我々は、1999年のファンド創設以来一貫して、業績低迷等により企業価値が毀損されたままとなった企業に注目し、企業価値向上の阻害要因を見極め、そこから脱するための施策を考え、企業と対話を行っています。対話に臨むにあたっては、企業の抱える本質的な課題とその解決策を、定量データや他社比較、他社事例等を交え可視化させるディスカッションペーパーを作成し、経営陣の方々とも継続的に意見交換しています。我々は、投資先企業の従業員や取引先も含め、全てのステークホルダーの活性化につながる企業業績の改善が理想だと考えていますが、こうした考え方をしっかりとお伝えするようにしています。
Q7. 投資に関するおすすめの書籍を1冊ご紹介いただけますでしょうか。書籍の概要・感想・評価についてもご教示いただけますと幸いです。
・ 投資に関する書籍ではないかもしれませんが、当ファンドが収益源泉とするような会社変革の事例がよく理解できる書籍として、三枝匡氏の著書『ザ・会社改造』をおすすめさせていただきます。実話をベースに、物語形式で書かれているので読みやすいと思います。文庫本も出版されています。インタビューは以上になります。
企業プロフィール
・ りそなグループの資産運用会社として2015年8月に設立されました。・ 2020年1月にりそな銀行信託部門の運用機能を集約することで、国内有数の運用会社となりました。
・ りそなの資産運用の歴史は、りそな銀行からの通算で、約60年にものぼります。主に企業年金や公的年金の運用を行う中で、長期的に持続可能で安定したリターンをご提供するためのノウハウを培ってまいりました。
戦略概要
・ 1999年10月に運用を開始した戦略です。・ 様々な理由により割安な状況に置かれた株式の中で、それら割安状況の解消が見込める銘柄に投資することで、高い超過収益の獲得を目指します。
・ 割安な状況から脱していくパターンとして、「事業構造・内容の再構築」「実力の再評価」「行き過ぎの修正」の3パターンを主に想定していますが、異なるパターンへの投資が組み合わされることで、安定したリターンの獲得が可能となっています。
・ エンゲージメント(対話)を通じて投資先企業と課題認識を共有し、課題解決に向けた企業の取り組みを後押しすることも特徴です。
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