Sit Investment Associates, Inc.
Bryce Doty氏インタビュー

interviewer:HCアセットマネジメント㈱
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • mixiチェック

Q1. Sit Investmentはどのような投資哲学のもとで、どのように投資を行ってきたのでしょうか? また、期近MBS(住宅ローン担保証券、Mortgage backed securities、以下MBS)に専念している理由は何でしょうか?

 投資哲学は、長期的に安定したリターンを創出することです。高クーポンの政府保証付期近MBSに投資することで、インカム収入と元本の価格変動を抑制することが出来ることに気づきました。本戦略は、原則、高いインカムを証券償還時まで享受することが目的です。
 1980年代に、弊社は一部のMBSのクーポンが市場平均に比べて非常に高いことに気づき、低金利になっても借換えない借り手について調査しました。そして、借り手とローンにいくつかの共通した特徴があることが判明したのです。
 さらに、こうした証券は価格変動率が低いことも発見しました。インカムが高水準で証券の値動きが抑制されていれば、安定したリターンにつながります。ポートフォリオ・マネジャーのBryce DotyとMark Bookの2人でアプローチを強化しましたが、住宅市場が拡大し複雑になる過程で追加的な投資機会を発見したのです。この戦略の鍵は、高いクーポン収入と期前償還率の低さにあります。

Q2. 投資のアイデアは、どのようにして見つけ、投資対象は環境に応じてどのように変遷してきたのでしょうか?

Q2. 投資のアイデアは、どのようにして見つけ、投資対象は環境に応じてどのように変遷してきたのでしょうか?
 弊社は個別銘柄の精査を行うことで、期前償還水準が一定水準に収まり、高クーポンで値動きが抑制されているMBSを選定します。ポートフォリオは、金利環境に因らず、主に、高クーポン政府保証付期近MBSで構成されます。MBSの特定分野を専門とする8-10社の証券会社を通じて、証券は取得できます。Sitは常時こうしたMBSを取得しているため、優先購入権があり、適宜有利な利回りとデュレーション属性を持つポートフォリオを構築できるのです。
 低金利の環境においては、金利リスクをヘッジすることで、ポートフォリオのボラティリティをさらに低減します。高金利の環境においては、金利リスクヘッジに加えて、保有証券が生み出すキャッシュフローを魅力の高い証券に投資したり、時には新発債を購入したりします。MBSスプレッドが拡大し、値動きが米国債と乖離すると金利ヘッジの効果が薄れることは否めません。重要なことは、金利サイクル全体を通じて、高クーポンで残存の短い期近MBSを75%以上組み入れることです。

Q3. ポートフォリオ・マネジャーとして働こうと思われたのはなぜでしょうか?

 投資が幅広い組織や人々に多くの恩恵をもたらすことに気が付いたのがきっかけです。
 運用報告会において、お客様から私たちが最も誇りに思っていることについて尋ねられることがありますが、ポートフォリオのリターンの出方に誇りを持っていると回答しています。投資信託では個人の資金を運用していますが、リターンが高いほど、受益者はより多くの商品やサービスを手に入れることができます。公益信託や大学財団の資金を運用していますが、リターンが高いほど、彼らは恵まれない人々に多くのサービスを提供できるようになります。また、年金資産の運用も行っていますが、リターンは受益者の老後生活を向上させます。保険会社の場合は、顧客が必要とするときにサービスを提供できるようになります。
 私がポートフォリオ・マネジャーである理由、そして最も誇りに思うことは、人々の生活水準向上に資することです。

Q4. ポートフォリオ・マネジャーとしての信念をお聞かせください。常に心がけていること、あるいは、しないと決めていらっしゃることはありますか。

Q4. ポートフォリオ・マネジャーとしての信念をお聞かせください。常に心がけていること、あるいは、しないと決めていらっしゃることはありますか。
 ポートフォリオ・マネジャーが成功するためには、経験や学歴以上のものが必要でしょう。私は部下に、お客様の投資目標を達成するため下記3つの言葉を忘れないよう伝えています。
    - Conviction (確信)
    - Action (行動)
    - Discipline (規律)
 経済、金利、インフレ、財政政策、金融政策について確信を持つことは重要です。債券の構造、企業の財務内容、特定ローンの延滞動向などの具体的な特徴を把握し、将来動向の幅について予測する力を培うこと重要です。
 アナリストやポートフォリオ・マネジャーが、将来を予測し、その環境下でどのような証券が持ちこたえ得るかについて確認を持った後は、ポートフォリオの構成銘柄と理想的な銘柄との乖離を把握し、入れ替え実行しなければなりません。投資環境が変化した際に、最適ではないポートフォリオ構成に安住することを防げます。
 規律とは、この場合、保有証券売却条件を守ることです。一定の時間枠、特定の金利水準、企業の利益率や格付水準、イールドカーブの形状の変化、あるいはそうした事象の組み合わせで、保有証券が果たすべき役割を達成する価格に到達します。証券購入時に売却シナリオを想定することは、売り規律徹底に役立ちます。
 最後に、人より少なくとも一歩先を考えることが重要です。3手先まで考える平均的なチェス・プレーヤーは、2手先までしか考えないベテランに一般的に勝つという喩え話を部下に話します。
 私が絶対にやらないことは、十分に理解出来ない証券には投資しないということです。お客様に説明できないものに投資するのは無責任と思います。ガイドラインの範囲内であっても、リスクが高すぎる銘柄には投資しません。実行する取引より、手を出さない取引の方がはるかに重要と考えています。

Q5. どのように資産保全を図りますか?

 資産保全の方法論を検討するには、お客様の運用目的を理解することが重要です。ベンチマークは有用な物差しですが、ポートフォリオ制約や運用ガイドラインの意図を知ることのほうが重要です。
 投資する証券の緻密なボトムアップ分析は重要で、有事に備えることが出来ます。社債のコベナンツ条項や証券化商品の弁済順位に関するウォーターフォールの取り決めなどです。
 複数の金利サイクルを経た既発債に注目することは重要です。新発債やCDOのような証券バスケット型の証券は回避します。バスケット型に含まれるベストな有価証券だけを買い、質の低い証券は回避したいからです。
 キャッシュフローが安定していて将来の予測可能性が高く、同じデュレーションの米国債より価格変動が安定している証券を追求します。金利低下局面ではそれほど値上がりしないものの、金利上昇時の下落幅は抑制されます。お客様によっては金利ヘッジすることもあり、米国債先物ショートで対応しています。

Q6. 投資に関してお勧めの書籍をご紹介いただけますでしょうか?

Q6. 投資に関してお勧めの書籍をご紹介いただけますでしょうか?
 Michael E. Porter氏の 「Competitive Advantage of Nations(和名:国の競争優位)」が好きで、この本に書かれているマクロの概念をミクロ経済の問題や地域企業の競合相手、さらには政治や投資家の行動に影響を与える心理的、文化的な問題にも応用しています。
 Ayn Rand氏の「Atlas Shrugged(和名:肩をすくめるアトラス)」は、資本と資源の自由な流れの重要性について示唆しています。
 人間の感情が市場価格を形成するため、行動ファイナンスを題材にした記事や学術書を愛読しています。純粋な効率的市場理論の欠点に気づく助けにもなります。心理学はファイナンスの授業より役に立ったと冗談を言うこともあります。
 新人アナリストには、マイケル・ルイス氏の「Liar’s Poker(和名:ライアーズ・ポーカー)」を勧めています。ウォール街の短期的なインセンティブとお客様の長期的運用目標が如何にずれているかわかります。

Q7. 主に業務に関する情報収集の為に、毎日チェックされている媒体(新聞・雑誌・webサイト等)を教えてください。

 Wall Street Journalを毎日読み、Bloombergで経済指標に関するトップニュースを確認します。独自の結論と戦略を立てるため、他の出版物はほとんど避けます。他人の分析に基づいて自分の意見を形成するのではなく、経済データの情報源に直接アクセスする方が好きです。ニュース記事を読む主な目的は、一般的な市場観測やセンチメントを把握し、市場の反応を予測することです。トレンドが終わりを告げ、新たなトレンドが形成されつつあるとき、意見が分かれるため、多くの絶好の機会が生まれます。以下は、私がよく使うデータ・ソースです。
     - Fannie Mae: www.fanniemae.com
     - Freddie Mac: www.freddiemac.com  
     - US Census: www.census.gov
     - US Bureau of Labor Statistics: www.bls.gov
     - National Association of Realtors: www.realtor.org
     - Mortgage Bankers Association: www.mbaa.org
 ほぼすべてのデータには欠点があり、特定の経済サイクルで正確性が増します。欠点を理解し、上手に活用することが重要です。





インタビューは以上になります。

企業プロフィール

Sit Investment Associates, Inc.はミネソタ州ミネアポリスを拠点とする独立系運用会社。1981年7月にユージー・シット氏により設立。期近MBS戦略は、1980年代に当時の最高投資責任者マイケル・ブリーリー氏により考案されて以来、30年超の運用実績を有する。
期近MBS戦略の他、同社は幅広い投資戦略を運用し、お客様の目標に応じたカスタマイズの投資戦略を提供している。主な注目分野は、投資適格債券、債券分野におけるアルタナディブ投資(Alternative investments in taxable income and municipal bonds)、短期デュレーション戦略、米国成長株式とグローバル株式(エマージング市場を中心)。


リスク・手数料などの重要事項に関するご説明