Epoch Investment Partners
Eric Sappenfield氏インタビュー

interviewer:HCアセットマネジメント㈱ /写真提供:Epoch Investment Partners
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Q1.御社の投資哲学と投資手法をお伺いできますか?

Q1.御社の投資哲学と投資手法をお伺いできますか?
 私たちは、企業のフリーキャッシュフローの成長性と使われ方が株主の長期的な収益を占う最も良い材料であると信じています。そのため、私たちが銘柄選択を行うプロセスでは、PERやPERといった従来型の会計的アプローチと異なって、フリーキャッシュフローに関する計数や資本がどう配分されているかに注目します。そして、一貫性をもって、実直にフリーキャッシュフローを創出し、それを効率的に配分できる能力を持つ企業を探します。大切な要素の一つは企業の経営陣が、透明性と株主価値の増進にどの程度コミットしているかを判断することです。このプロセスを通して発掘された企業は、キャッシュフローを創出する力があり、株価のボラティリティも低いのです。
 当戦略は、投資先候補を発掘するに当たって、当社独自の定量分析手法を用いています。直近の配当率の高さ、キャッシュフローが成長していること、事業キャッシュフローが配当以上であること、また一度も無配転落に陥ったことがないことを条件としています。そして、企業のファンダメンタルについての分析評価を厳格に行います。私たちは、企業が長期的に価値を創出する源泉と、経営陣がそれを発展させる能力を持つかを評価する中で、投資哲学を育んできました。もし、資金を投資に回した場合の期待リターンが企業の資本コストを超えられない場合には、現金を株主に払い戻すだけの規律を持っているかどうか、経営陣の資本配分の履歴を綿密に調べます。私たちは、現金配当から4.5%、自社株買及び債務削減から1.5%、合わせて6%の株主要求利回りを満たす銘柄を選びます。また、最低でも3%のキャッシュフローの成長率を要求しています。継続的にこの考えに立ち戻り、もし投資先企業が私たちが要求する株主利回りを達成できないとなった場合、または他により少ないリスクで、私たちの求める特性を達成する企業が見つかった場合は、その銘柄は売却します。
 私たちは、ポートフォリオのボラティリティを監視し、当戦略の目標を確実に達成するために、ポートフォリオ構築プロセスの一部としてリスクの分析を行っています。主席リスク管理者が当社の全戦略の共同ポートフォリオマネジャーでもあることで、各ポートフォリオマネージャーは個別銘柄がポートフォリオに対して持つかも知れない、意図しないバイアスと影響を認識していることができます。ポートフォリオ全体の投資家利回りが余りにも一つの銘柄に依存しすぎないように、当ポートフォリオはセクターと収益源泉を十分に分散させています。

Q2.今日の投資機会をどう見ているか教えてください。なぜこの戦略が有効だと考えていますか?

Q2.今日の投資機会をどう見ているか教えてください。なぜこの戦略が有効だと考えていますか?
 先進国の公的債務は膨れ上がっていて、OECD加盟国はGDPの総額を超えた負債を抱えています。この過重債務は経済成長を、潜在成長率以下に押さえ込んでいます。経済成長が低迷、ボラティリティが上昇し、同時に金利の更なる低下余地が殆ど無くなっている中では、株式のバリュエーション倍率がここから大きく伸びてゆくとは思えません。従って、バリュエーションの引き上げをテーマとして株式を買い上げてゆく戦略は、成功する投資手法ではないでしょう。PE倍率の伸びが株式市場のリターンを引っ張った時期も確かにありましたが、長い目で見れば、バリュエーション倍率の伸長と収縮は結局は行って来いの結果となっています。同様に、世界経済成長が抑制されると、企業の収益の成長力も弱くなります。これらを念頭に置くと、私たちは今後何年間かに亘って、株式のリターンの主要部分は、利益配当、自社株買いと負債の削減によるものになるだろうと考えています。この収益機会をとらえるエポック社の戦略は有効だと考えています。

Q3.この業界に入った理由はなんですか?

Q3.この業界に入った理由はなんですか?
 この業界に入ったのは幸運な偶然からでしたが、投資運用は私の適職だと思っています。私は好奇心が強い方で、金融と投資の世界での謎解きを楽しんでいます。商業銀行と投資銀行で積み上げた、セールス、トレーディングとプライベートエクイティの経験がエポック社の投資哲学と配当余力重視戦略にうまく合っていると思います。



 

Q4.今日の株式市場において何が大きなリスクだと考えていますか?

 ボラティリティの更なる高まり、低金利の持続、そして、投資家の強過ぎる期待感がリスクだと考えています。多くの企業において、経営環境は厳しい状況が続いています。先進国のほとんどは景気後退に陥っていますし、新興国の経済成長も以前に比べると鈍くなっているので、多くの企業にとって売上を成長させることが難問です。だからこそ、どの企業がこのような厳しい経済環境下でも、着実にフリーキャッシュフローを成長させ、株主利回り重視の特性を維持、発展させることができるのかを知ることが、益々重要になってくると思っています。

Q5.ポートフォリオマネジャとしての信念はなんですか?

Q5.ポートフォリオマネジャとしての信念はなんですか?
 株式のリターンのほとんどは成長企業がもたらす配当収益だと信じています。この信念を貫くために、徹底的なリサーチによって選んだ企業への投資を通して、力強いリスク調整後リターンを提供することを目指します。これらの企業はキャッシュフローの成長と、株主への現金払い戻しの規律を持っている企業です。
 次に私たちは、上記の特性を備えた企業からなる分散されたポートフォリオを組み立てます。私たちは、株価収益率の上昇を期待して投資することはありません。単独銘柄で過大なポジションを取ることで、ポートフォリオの目標利回りを達成しようとも考えていません。また私たちは、特に本戦略の期待収益に関して、投資家に過大な期待を持たせたことはなかったと思っています。そして、株主利回りを成長させる銘柄で構成されたポートフォリオを、提供してゆくことができると信じています。様々な市場環境下でもボラティリティを市場以下に抑え、魅力的な利益を提供していけるものと確信しています。

Q6.どのように顧客の資産保全を図っていきますか?

Q6.どのように顧客の資産保全を図っていきますか?
 お客様の資産保全をするための最善の策は、運用規律を守って運用すること及び、運用成果とプロセスを常に振り返ってみることだと信じています。
 私たちは、投資家に代わって投資先企業のファンダメンタルズ調査を徹底して行います。また、キャッシュフローを成長させ、配当額を増やし、自社株買いや負債削減が行える企業に焦点を合わせます。こういう特性を持つ企業はボラティリティが低い傾向があるのです。また、ポートフォリオはセクターと収益源泉の点で分散が効いています。一方、リスク管理は、意図せざるリスクを避ける意味で、投資プロセス全体と一元化されています。ポートフォリオのリスクエクスポージャーは、モニターされて、定期的にポートフォリオマネジャに伝えられ、投資会議での検討議題となります。定量分析兼リスク管理チームのヘッドであるマイケル・ホールターは、エポック社の全戦略の共同ポートフォリオマネジャでもあります。私たちは、バーラリスクモデルを使って全体リスクとトラッキングエラーを管理しています。加えて、バーラリスクモデルは銘柄固有リスクと、システマティックリスクを報告する為にも使っています。ポートフォリオの銘柄固有リスクの中で特定銘柄が大きなパーセンテージを占めている場合には、その保有割合を見直しています。

Q7.お気に入りの投資の本を紹介してください。

Q7.お気に入りの投資の本を紹介してください。
 二つあります。一つ目は「“Security Analysis”(“証券分析”)」というベンジャミン・グレアムとディビット・ドッドによって書かれた古典です。 これは、投資家が投資先企業とそのリスク、得られる見返りを、一定の規律を持って検討する方法について述べたものです。書かれていることは、様々な時期を経ていまだに有効ですし、常に私を助けてくれてきた、基本的な枠組みです。
 二つ目は、「“The Essays of Warren Buffett: lessons for corporate America,”」です。これは毎年のウォーレン・バフェット氏からの手紙をローレンス・カニンガムがまとめたもので、現実世界で投資する場合の困難な問題点や、真のバリュー投資家として、それらの問題にどう対処しているかについて明らかにしてくれるものです。

Q8.定期的にチェックされている媒体(新聞・雑誌・webサイト等)を教えてください。

Q8.定期的にチェックされている媒体(新聞・雑誌・webサイト等)を教えてください。
 いつも、フィナンシャルタイムズとエコノミスト(雑誌)を読んでいます。また、ブルームバーグから非常に多くの情報を得ています。








インタビューは以上となります。



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