Eurekahedge主催 Asian Hedge Fund Awards 2009
Best Japan Hedge fund 受賞記念インタビュー

年間のアジアのベストヘッジファンドを表彰する、Eurekahedge主催 Asian Hedge Fund Awards 2009において、見事 Best Japan Hedge fundを受賞したエピックパートナーズインベストメンツ株式会社の武 英松社長に、本アワードの審査員の一人として審査に参加した弊社取締役運用部長の橋本あかねが、受賞記念インタビューを行いました。

それではインタビューの様子をご覧下さい。
interviewer:橋本 あかね(HCアセットマネジメント㈱取締役 運用部長) photographs:佐藤 亘
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Eurekahedge主催「Asian Hedge Fund Awards 2009」にて見事「Best Japan Hedge fund」を受賞なさいましたが、まずは今回の受賞にあたっての率直な感想を教えてください。

Eurekahedge主催「Asian Hedge Fund Awards 2009」にて見事「Best Japan Hedge fund」を受賞なさいましたが、まずは今回の受賞にあたっての率直な感想を教えてください。
 大変光栄に思います。
 Prowess of Japan Fundのストラテジーは徹底的な分散を意識した日本株のマーケットニュートラル運用で、安定的な絶対リターンの確保を目標にしています。他のストラテジーと比較して、相対的にはマーケット環境に左右されにくいので、昨年のようなマーケット環境下では特に優位性が発揮されたものと思います。
 決して派手なパフォーマンスは期待できませんが、日々地道にリターンを積み上げてきたことが評価されたことは、大変喜ばしいことです。

武社長がお持ちの投資哲学と運用の特色についてお聞かせください。

武社長がお持ちの投資哲学と運用の特色についてお聞かせください。
 企業に対してあらゆるリサーチを行っても、株に絶対ということはありません。
 昨年も1部上場企業が過年度決算を修正したり、優良IR企業として取引所に表彰された企業が粉飾決算で突然倒産するなどしました。こういった、一般の投資家では予測不能な事態から損出を被ることは、インサイダーでもない限り避けられないことです。
 それを大前提に安定的な絶対リターンを上げるためには、十分な分散が必須であり、またいつでも売買可能な適正サイズ、つまり流動性を考慮したポジションを構築することが重要であると考えています。
 また、運用者としては精神的なコントロールも大変重要な条件となります。簡単に言えばポジションを持った瞬間から、精神的には既に負けの領域に入るということです。さらに、同じ銘柄を持っても千株と百万株では精神的な負担がまったく違います。
 それを克服していくためにも、十分な分散とネットポジションでは勝負しないマーケットニュートラルという手法は有効な手段です。個々のポジションや市場全体の動きに振り回されることなく、常に冷静に市場に向き合っていくことこそが我々の運用の特色です。

運用の仕事に携わろうと思われたきっかけについてお聞かせください。

運用の仕事に携わろうと思われたきっかけについてお聞かせください。
 私は理工系の修士課程に在学していましたが、メーカーの研究職より金融の方に興味がありました。そんな時、就職活動で訪問した日興證券のトレーディングセンターで見た光景は衝撃的でした。巨大な株価ボードや無数のディスプレーに囲まれながら、大声を張り上げている人、黙々とキーボードをたたく人などを見て、金融の最前線を実感し、ここで働きたいと思いました。
 初めは先物関係の部署に配属されましたが、その後、現在のマーケットニュートラル手法で自己資金を運用している部署の先輩の下に配属されました。その先輩から運用手法を教わりながら、自分のポジションを取らせてもらえるようになりましたが、最初はまったく儲かりませんでした。テクニカル分析、クオンツ分析など色々試しましたが、なかなかうまくいきません。
 半年の間、試行錯誤を繰り返す中、先輩が言っていることはそういうことなんだと、ある日気が付く時がきました。結局、ファンダメンタル無視の手法ではコンスタントに儲けることはできない、ファンダメンタルだけを見ていてもやはり儲けることはできないというのが結論でした。それから先輩に教えられたことを自分の中で消化し、今の手法が徐々に固まっていきました。

独立された経緯や創業の想いについてお聞かせください。

独立された経緯や創業の想いについてお聞かせください。
 日興証券とUBSで合計約10年間自己売買のトレーダーとして、マーケットニュートラル運用に携わりました。その運用手法を顧客のため、特に投資の選択肢が少ない個人投資家のために提供していきたいと思い、日興證券出身者中心に2005年に会社を設立しました。
 バブル崩壊後、わが国は低成長期に入り、個人投資家は大きく傷つきました。一方で、インターネット等のテクノロジーの発達で、個人でも証券会社なみのデイトレードを行う人たちが出現しました。しかし、依然として個人投資家は、株を買うか投信を買うかのロング戦略がほとんどであり、証券会社の自己売買部門を中心に行われてきたリスクコントロール型の投資手法は、なかなか提供されていません。
 われわれは、投資運用業者としてそういった手法を国内で広く一般に提供することにより、わが国の資産運用市場の健全な発展に貢献することを目的としてエピック・パートナーズ・インベストメンツを設立しました。日本における法令を遵守し、拠点を国内におくことにより会社自体に対する透明性を高め、独立系として存在することにより、顧客ニーズへの迅速な対応、投資判断の中立性を確保していく。そういったことがわが国の投資家や社会から信頼を得るために重要であると考えています。

尊敬する投資家はいらっしゃいますか。

尊敬する投資家はいらっしゃいますか。
 運用一筋できたので、著名な投資家等を詳しく調べたことがありません。勉強不足で申し訳ございません。
 ただ、経験豊富な個人投資家の臭覚と投資判断の早さには驚かされました。

投資に関するお奨めの書籍を1冊ご紹介頂けますでしょうか。

投資に関するお奨めの書籍を1冊ご紹介頂けますでしょうか。
 投資に関する本ではありませんが『戦場の人間学』(柘植久慶著)を挙げます。本書では、「生き残る兵士と死ぬ兵士の違い」を次のようにまとめてあります。
 死にやすい兵士とは、自ら豪傑を気取る奴、好奇心の旺盛すぎる奴、注意力散漫な奴、ドジな奴、臆病な奴。こういった連中は戦闘の中で心理的な余裕がなく、自分勝手であり、自らが命を落とすだけでなく、攻撃面でも防御面でも部隊の他のメンバーにまで迷惑を及ぼす危険性がある。
 死なない兵士とは、慎重な奴、勘の抜群によい奴、負傷しても積極的な思考のできる奴。常に死に直面していることを意識して、不用意な行動は一切せず、正確な状況判断を下すことが重要になってくる。また生き残るには平静な心を保とうとするだけでなく、絶対に死なないというほどのアドレナリンの分泌を盛んにすることが肝心。
 結局、死ぬ兵士とは、運も悪く、ガサツで、「死ぬんだろうな」などと弱気だったり、血の気だけ多くて冷静になれない連中。生き残る兵士とは、強運とバランス感覚をもち、心理的にも強く、生きることに積極的で死の恐怖を克服できる連中。
 これをマーケットで勝つ奴と負ける奴に置き換えると、非常に納得します。

主に業務に関する情報収集の為に、毎日チェックされている媒体(新聞・雑誌・webサイト等)を教えてください。

主に業務に関する情報収集の為に、毎日チェックされている媒体(新聞・雑誌・webサイト等)を教えてください。
 日経新聞、日刊工業の他、全国紙の見出しに目を通し、興味がある記事についてはネットで中身を読みます。
 週刊誌なので毎日ではありませんが、日経ベリタス、日経ビジネス、東洋経済、ダイアモンドなどにも、目を通します。



インタビューは以上になります。




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