モラルハザード(moral hazard)

2018/11/13更新
広義には、人間の内心の意思は他人には知りようがないという情報の非対称性に起因する諸問題である。特に保険について問題となる。例えば、自殺の意思をもつ人が生命保険に加入しようとするとき、保険会社としては、その意思を知りようがないため、他の諸条件が充足するとき、保険契約を拒めないという問題が典型である。これに対して、保険会社は、契約後の一定期間中の自殺に対して責任を負わないという特約で応じているが、これは、免責期間中も自殺の意思を堅持するとは考えにくいとの想定に基づく。落第保険の不可能性も同じことで、一般に、意図的に保険事故の生起を操作できるようなことには、原理的に保険を適用できないということである。

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