仮想通貨

2018/07/04更新
仮想通貨とは、どのような形態をとろうとも、何らかの価値の表象、より具体的には何らかの標章(token)であると考えられ、それらを一般化して記号と呼んでおけば間違いないものである。通貨は、物々交換に通貨を介在させることで取引の利便性を劇的に向上させたところに、本質的な意義を有していたわけだが、情報技術の進化によって、通貨を媒介することなく物々交換を実現するところに、仮想通貨の一つの革命的な意味がある。通貨は、通貨を流通せしめる政治権力の存在を前提に、政治権力の及ぶ範囲を経済圏として通用している。仮想通貨は権力の存在とは無関係に発行されるので、同じ論理構成をとることはできず、むしろ全く逆に、仮想通貨の通用する範囲として経済圏が構成され、その仮想通貨の独自の力により経済圏が拡大していくとき、それが真の仮想通貨になるのである。つまり、仮想通貨保有者で構成される経済圏では、すべての仮想通貨保有者は、全く同じ情報をもち、自らの経済活動によって仮想通貨を創造し、同時に消費することで、経済圏の自主的な拡大成長に参画するわけである。そして、その成長を通じて、仮想通貨は通貨に対して騰貴していく。あるいは表現を変えれば、仮想通貨と通貨との交換比率の変化が仮想通貨経済圏の成長尺度だということである。

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