コンサルタント(Consultant)

2017/07/06更新
米国において年金基金の資産運用コンサルティングが生まれた原点は、1974年にエリサ法が制定施行され、年金基金の資産運用にかかわるフィデューシャリー・デューティーが法令上に明文化されたことにある。年金基金はフィデューシャリー・デューティーのもとで、最善の努力を尽くして、最良の運用会社を選択しなければならない義務を負うが、資源の限られた年金基金だけでは実行不可能であり、情報を専門家に集積する必要があって、コンサルタントが生まれた。コンサルタントの機能は、運用会社の立場からも決定的に重要である。すぐれた運用成果を実現している限り、必ずコンサルタントを通じて顧客を得ることができる、しかも同時に、一番重要なこととして運用会社は運用に専念できる、専念できるからこそ顧客のために良い成果を上げ得る、これこそがフィデューシャリー・デューティーの要諦でありフィデューシャリー・デューティーの徹底が米国の資産運用の高度化と繁栄をもたらしたのである。しかしながら、フィデューシャリー・デューティーの理解が変容し、なしてはならないことの限界としてフィデューシャリー・デューティーが機能しはじめると、最低限のことさえしておけばいいという保身的な行動様式を誘発し、コンサルタントの利用こそ、その代表的な最低限の要件と化してしまっている。加えて、コンサルタントが投資運用業を併営する例が多くなり、深刻な利益相反の可能性も生んでいるのである。

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