代行返上

2016/06/27更新
厚生年金基金は、厚生年金本体の給付を「代行」することで、基金の規模を大きくし、薄い上乗せ給付でも経済合理性が成り立つ仕組みであった。しかしながら、企業あるいは産業ごとの衰退は基金を直撃し、更に、相場環境の悪化による母体企業財務への悪影響もあり、「代行」が却って負担となった。対策として、2002年4月1日確定給付企業年金法が施行され、企業単位で作られていた厚生年金基金は、ほとんどが「代行部分」を返上し、企業年金基金に改組された。厚生年金廃止の方向は決定的であるが、厚生年金基金を支えた相互扶助原理は、制度の本質であり、高齢化社会の日本では、そこにこめられた理念はいま改めて考え直さなければない。

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