シンジケート・ローンの法的課題

シンジケート・ローンの法的課題

著者 森下 哲朗、道垣内 弘人
出版社 商事法務
発行日 2019/03/25
 シンジケート・ローンには、多様な利害関係者が存在することから、規制法上の問題のみならず、情報提供義務や利益相反、担保権の設定など、私法上も多くの問題が生じます。本書では、こうしたシンジケート・ローン特有の法律上の論点について、各国の裁判例なども参考にしながら、具体的にどのような場面で問題となるのか、どのように整理できるのかを検討しています。

 例えば、アレンジャーが参加金融機関に対して負う情報提供義務について、日本や米英の裁判例を取り上げながら、その範囲を検討しています。特に、情報提供義務の対象について、アレンジャーが現実に知っていた具体的な情報と、推認や調査を要する情報とを区別し、前者について、客観的にみて融資参加を決定する上で重要な情報である場合には情報提供義務が生じると整理しています。このような考え方は、アレンジャーに過度な負担を課すものではなく、合理的な整理であると感じました。

 一見すると専門的な内容ですが、第1部・第2部ではシンジケート・ローンの基礎や各国における仕組みの違いが丁寧に説明されており、第3部では標準契約書についても解説されています。そのため、シンジケート・ローンになじみのない人でも、基本的な仕組みを確認しながら具体的な法的論点を理解できる点が本書の魅力です。

この本を紹介した人

城 大輝

HCアセットマネジメント株式会社投資運用機能所属

2023年にHCアセットマネジメント株式会社に新卒で入社。現在はポートフォリオマネージャーのサポートに従事。趣味は読書。