日本バリュー・インベスターズ株式会社
伊藤 義彦氏インタビュー

interviewer:HCアセットマネジメント㈱ photographs:佐藤亘
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Q1. 御社の投資哲学および投資プロセスについて教えてください。

Q1. 御社の投資哲学および投資プロセスについて教えてください。
 当社の日本株投資プログラムは、バリュー投資哲学に基づいたボトムアップ手法による厳選された銘柄への投資、および、より魅力的な銘柄への入れ替えを適宜行うことで、ポートフォリオの本源的な価値を中長期的に高めることを目的としています。
 当社の投資哲学は、割安な株式の相対的な株価パフォーマンスは市場平均を上回るというものです。これは、過去30年以上遡るバックテストの結果に基づくものです。但し、当社では全ての割安株がよい投資対象になるとは考えておりません。なぜなら割安株の中には、事業基盤、財務体質、経営能力などの点で脆弱性を持っているものもあるからです。そのため、当社の割安株投資においては、「価格」だけでなく、そのような点を包括した企業の「質」を重視しています。つまり、私たちが魅力的であると考える投資対象は、事業基盤、財務体質、経営能力などの点において強固でありながらも、割安な価格で取引されている企業の株式であると言えます。
 当社では、まずスクリーニングにおいて割安基準を満たす銘柄を抽出し、それらの銘柄の調査を行った上で、独自の評価基準を基にそれらの企業の「質」を評価します。そして、評価した「質」に対して「価格」が割安であると判断される時に投資を行います。ポートフォリオについては、個別銘柄の「質」に対する相対的な割安度に基づいて、構築・入替を行います。
 当社では、上記の全てのプロセスを、経験豊富な運用担当者がチームとして、一つのモデルポートフォリオを構築し、全ての顧客に均一な形で提供しています。

Q2. 今どこに投資機会を見出していらっしゃいますか。なぜ日本株バリュー戦略に魅力があると考えていらっしゃいますか。

Q2. 今どこに投資機会を見出していらっしゃいますか。なぜ日本株バリュー戦略に魅力があると考えていらっしゃいますか。
 当社では、特定のテーマなどを念頭においた投資は行わず、あくまでも個別銘柄の質を考慮した上でのバリュエーションの相対的な魅力度に基づいた投資を行っています。
 当社では、なんらかの理由により、ある企業が持つ質に対するバリュエーションが相対的に割安になっているケースは常に存在すると考えています。
 そのような理由には、その時々で様々なものがあり、例えば、現状でしたら、中国や新興国経済の減速などが挙げられると思います。しかし、当社においては、各々の銘柄に中長期のタイムスパン(平均3~5年程度)で投資しており、現在市場が懸念しているネガティブな要因も、そのようなタイムスパンでは、比較的短期的なノイズとなる可能性が高いと考えられます。
 当社のポートフォリオの平均的なバリュエーションは、前述のような銘柄選択を行うことにより、市場全体よりも更に割安な状態に維持されています。そのような中、日本においてもバリュエーションが相対的に割安な銘柄群のリターンは中長期に市場を上回るというバックテストの結果があります。当社では、企業の質に対するバリュエーションを評価し、バリュー株投資において陥りがちなバリュートラップを回避するように努めることで、運用開始以来、バックテストの結果を上回る実績を上げています。

Q3. なぜこの業界で働こうと思われたのでしょうか。

Q3. なぜこの業界で働こうと思われたのでしょうか。
 最初に就職した農林系の団体では、本業である共済と直接関連しない資産運用部門に配属され、外国債券および外国為替による内部資金の運用業務に従事しました。各国のマクロ経済要因などにより金利や為替レートが変動する中、資金を運用する面白さを初めて体験しました。
 数年後、国内生保に移り、ロンドン現地法人で欧州株式運用を含む運用業務に従事しました。当初のやり方は、各国のマクロ経済分析から入り、それをベースに国ごとの資産配分および業種配分を決定し、その上で個別銘柄選択を行うという、いわゆるトップダウン方式によるものでした。当時アセットアロケーションの巧拙が運用パフォーマンスの8割を決定すると言われる中、最後の最後に出てくる個別銘柄選択の重要度は、それほど高くなかったと思います。
 そのような中、ロンドン現地法人在籍中の1996年に、バリュー哲学に基づき株式投資を行う英国のシルチェスター・インターナショナル・インベスターズ社にトレーニーとして1年間派遣されることになりました。同社の投資プロセスは、マクロ経済分析など一切行わずに、いきなり個別銘柄選択から入るという完全なボトムアップ型であり、これまでのやり方からまさに天と地がひっくり返るような衝撃を受けました。その結果、当時のチームとしても、個人としてもボトムアップ型の運用にすっかり「改宗」することになりました。その後、2005年に当社を設立した後も、同様のバリュー哲学に基づく、個別銘柄選択によるボトムアップ型の運用プロセスを継続しています。

Q4. ポートフォリオ・マネジャーとしての信念をお聞かせください。常に心がけていること、あるいは、しないと決めていらっしゃることはありますか。

Q4. ポートフォリオ・マネジャーとしての信念をお聞かせください。常に心がけていること、あるいは、しないと決めていらっしゃることはありますか。
 ポートフォリオマネジャーとして私が常に心がけていることは、以下の点です。
・ ポートフォリオの中長期的なパフォーマンスは、ポートフォリオの本源的価値の伸びを反映する。
・ そのため、短期的な市場環境の変化(どういったセクターのパフォーマンスが良いかなど)に影響されずに、本来の目的であるポートフォリオの本源的な価値を中長期的に高めるためのボトムアップによる銘柄選択および投資行動を行うことに集中する。
 なお、以上の点は、チーム全体で共有しており、個別銘柄の質に対するバリュエーションが割安あるいは割高と判断すれば、短期的な要因に惑わされずに、買入れあるいは 売却をディシプリンを持って行っています。

Q5. どのようにお客様の資産保全を図るかお聞かせください。

Q5.  どのようにお客様の資産保全を図るかお聞かせください。
 当社が考える究極的な資産保全策は、Permanent loss of capital (元本の回収不能)を招くような割高な銘柄に投資しないことです。そのために、当社では、個別銘柄の質とバリュエーションの分析を適切に行うことで、質に対してバリュエーションが割高な銘柄に投資することによるPermanent loss of capitalを回避しています。

Q6. 投資に関するお奨めの書籍を1冊ご紹介頂けますでしょうか。

Q6. 投資に関するお奨めの書籍を1冊ご紹介頂けますでしょうか。
 株で富を築くバフェットの法則[最新版]---不透明なマーケットで40年以上勝ち続ける投資法 (原書のタイトルは、The Warren Buffett Way)
- 著者:ロバート・G・ハグストローム

書籍の概要・感想・評価
 世界一の投資家、ウォーレン・バフェット氏の投資家としての人となりや、バフェット氏の投資手法の形成に大きな影響を与えた3人の異なる人物の考え方、同氏が実際に投資を行う際に検討すると考えられるポイントを簡潔かつ網羅的にまとめており、株式投資を行うにあたっての多くの示唆を与えてくれます。
 原書の初版は、1994年であり、2013年の最新版は、2004年の第二版に続く、第三版ですが、20年以上前に書かれた初版を現在読み直しても全く違和感がありません。

Q7. 主に業務に関する情報収集の為に、毎日チェックされている媒体(新聞・雑誌・webサイト等)を教えてください。

Q7. 主に業務に関する情報収集の為に、毎日チェックされている媒体(新聞・雑誌・webサイト等)を教えてください。
 日本株の運用者として、朝の通勤時には、日本経済新聞、日経産業新聞、日経MJの三誌をチェックしています。また帰宅時には、Financial TimesおよびWall Street Journalの日本関連記事を中心に検索して、内容をチェックしています。週末には、The EconomistのThe world this weekやLeadersに含まれる内容およびその他の重要と考えられる記事をチェックしています。
 海外の新聞や雑誌をチェックすることは、日々の投資業務には必ずしも直接的な影響はないのですが、日本で起きていることを世界的な潮流の中で理解・認識するという点で意義があると考えています。






インタビューは以上になります。



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