2018年12月18日(火)開催 HC資産運用セミナーvol.132『非流動資産投資の魅力』セミナーレポート

HCセミナー
■動画ダイジェスト



 投資をする際、さまざまな軸をもとに資産を分類し、投資対象を選択していく。そのうち、極めて重要な軸は、パブリックとプライベートという軸である。
 このパブリックとプライベートの差異としては、発行手続き、情報の提供範囲やリスク管理の方法等があるが、ここで留意しておきたいのは、両者の差異は投資対象の価値には全く関係ないということだ。同一の資産であっても公募と私募で価格の差が生じているが、これは価値の差を反映しているわけではない。
 また、パブリックマーケットの前提としてプライベートマーケットが存在する。プライベート・エクイティが出口戦略として上場大手に売却またはIPOすることがその例である。換言すれば、パブリックという出口がないとプライベートの運用は成立しないということだ。
 資産運用業は、プライベートの領域で付加価値を出す業態だ。この付加価値を出すのは、運用の規模ではない。巨大な運用会社が存在するが、これは本来的な意味の資産運用で付加価値を出しているのではなく、大規模な資産管理を行うことで付加価値を出しているのだ。このように、資産運用は本来的な意味の運用をしているものとそうでないものの二分化が進んでいる。巨大な規模を追求する資産運用業は、あらかたパブリックな方へ移行したので、プライベートとパブリックという区別は今や本質的な軸である。

 パブリックマーケットにおけるリスク管理手法は、売買である。自己の所有する資産に不満があれば売るべきということである。
 しかし、いやなら売れというリスク管理は致命的な欠陥がある。それは、売りたい時に買手が存在しなければリスク手法として機能しない点と、売りたい時を判断する基準が資産そのものの信用リスクではなく格付けの上下に帰着しがちである点だ。
 そうすると、投資対象を決定する際に、流動性があることにこだわる意味はない。資産を売ることより、資産がコンスタントにキャッシュを生んでいることが大事である。具体的に言えば、不動産は売ることより、テナントが埋まっていることのほうが大事ということだ。
 そして、キャッシュを生む資産になると、これに対して金融がつき、他の資産を開発することができ、プライベートアセットとして外部へ売却できる。つまり、キャッシュを生む資産は、買手が現れるので、流動性は確保できる。キャッシュの予測度が高ければ高いほど流動性が高くなる。つまり、キャッシュをコンスタントに生む資産であるならば、流動性が自ずから付いてくるのである。
 したがって、安定的にキャッシュフローを生む仕組みに構造化することが流動性を確保することにつながるのである。




以上

(文責:宮里、大山)

当日配布資料をPDFでダウンロードすることが可能です。






■セミナーで実施したアンケートの集計結果


Q1. 平均的な年金基金にとって、流動性の低い資産の組入れに上限を設けるとしたら、総資産の何パーセントくらいが適当だと、お考えでしょうか。( )内に数値をご記入ください。

(    )%

Q2. もしも、流動性の低い資産を投資対象として積極的に検討するとしたら、その魅力は、どのような点に、見出されるのでしょうか。一番近いものを、一つだけ、お選びください。

1. ユニークな投資機会にアクセスできる。
2. 相対的に、流動性の高い資産に比べて、割安である
3. 時価評価による影響が小さい
4. 債券や株式との相関が低い
5. 運用者による付加価値(バリューアップ)を期待できる
6. その他

Q3. 逆に、流動性の低い資産は投資対象として積極的に検討し難いと思われる場合、その主な難点は何でしょうか。一番近いものを、一つだけ、お選びください。


<クリックで拡大>
1. 不測のキャッシュフローに備えた売却可能性が小さい
2. 資産全体のリスク管理の観点で、売却によるリスク調整が困難となる
3. 時価評価がなされないので、資産の適切な管理ができない
4. 運用者の技術に依存する度合いが大きすぎる
5. 成果が出るまでの時間が長すぎる
6. わかりにくい
7. その他


アンケート結果をPDFでダウンロードすることが可能です。