2013/3/13開催 HC資産運用セミナーvol.063「資産配分から投資収益源泉の選択による機能配分へ」セミナーレポート

HCセミナー
 所有していて自然に収益を生む、言い換えると収益を自己実現していくものを資産と呼びます。キャッシュ・フローを生成するもののみが資産であって、例えば書画や骨董は資産ではありませんが、金はその唯一の例外(キャッシュ・フローを生み出さない資産)となります。

 本源的収益の源泉を選択すること、例えば、どの事業に投資するかの「事業選択」が重要で、どの資産クラスに投資するかは二の次となります。東電と関電のどちらの資産に投資するかが重要で、株・債券どちらの資産クラスを選ぶかではありません。

 また、投資が成り立つ上での金融の基本として、債務コストの見積もりが適正であれば、必ず本源的収益のみで収支均衡するということが言えます。従って、適正価格を下回る投資機会を求めることが資産運用の基本であると言うことができます。インデックス運用と言うのは、その機会を放棄することに他なりません。

 また、投資は選択の範囲が広ければ広いほど、より有利な投資機会が存在することになります。情報優位、お金があるところに情報が集まることは自明で、自分の知見、知識の範囲で運用を行っていては、進歩は生まれません。

 更に、投資機会の消滅、言い換えると割安な状態が解消したら売却しなければなりません。これが所謂「売却の規律」(sell discipline)と言うことになります。

 投資においては、

① 収益源泉が何であり源泉をどう分散するか
② 適正価格よりも低い価格で取得すること、言い換えると積極的に投資機会を模索すること
③ 適正価格に達したら売却すること


 が重要となります。

 資産配分の前の資産選択: 広い投資機会の中から一部分を切り出したところで、リターンの大部分は決まってしまいます。本源的収益が魅力あるものかが重要で、伝統的四資産区分に無理やり当てはめることからは何も生まれません。


 資産選択に際しては、キャッシュ・フローを生成する仕組みがどれだけ安定的であるかが重要となります。例えば、株式投資においては、キャッシュ・フローが読み易い企業が有利となります。

 投資に際して、「下がったら買う」と言った判断をしがちですが、意思決定は常にひとつしかなく、下がるのであれば売らなければなりません。こういった場合、結果的に下がったら買いを見送り、上がったら追っかけて買うことになりがちですが、上がると判断したのであれば、直ぐに買うべきです。

 投資においては、利回りと時間が大きなファクタとなります。プライベート・エクイティ業界では、早く回収して期間利回りを引き上げ、次のファンドを立ち上げればよいとの方向に走りがちですが、再投資リスクを回避するためには丹念に投資機会を探さなければなりません。

 本源的価値に関する期待値の変動が所謂バリェーション(の変化)と言うことになります。一方、バリューアップ戦略は、本当の意味でのキャピタルゲイン(本源的価値の上昇)を狙う形となります。株式の評価は、金利変動等の市場要因によるバリェーションの変化と企業の本源的価値の変動に分解されます。

 インカム源泉を、新造船ファイナンス、航空機リース、米国の中小企業金融、欧州の中小企業金融、エネルギー関連融資等の20ぐらいの投資機会に分散し、流動性や質に関する配慮、制約を設けることで、安定的なリターンならびに達成確率を確保することができ、インカム部分が確保されていればこそ、落ち着いて投資を行うことが可能となります。

 確信度の高い投資機会があれば行けばよいのであって、規律を持って投資機会を求めることが重要となります。

 また、こういった判断の積み上げで出来たポートフォリオを従来の四資産分類で無理やり説明することは止めて、やっている通り、実態をそのまま説明する方が遥かに分かりやすいはずです。

 以上
  
 (文責:佐藤知雄、柳井知之)

  当日配布資料をPDFでダウンロードすることが可能です。

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  HCアセットマネジメント運用部:research@hcax.com




■セミナーで実施したアンケートの集計結果

Q1 「国内債券・外国債券・国内株式・外国株式」という四資産分類は、次のどちらの歴史的経緯から生まれたとお考えでしょうか。どちらか近いほうをお選びください。

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1.まず、債券と株式に二分割し、次いで、それぞれを国内と外国に分けた。
2.まず、国内と外国に二分割し、次いで、それぞれを債券と株式に分けた。







Q2 「国内債券・外国債券・国内株式・外国株式」という四資産分類は、次のどちらの理論的順序で行われるべきお考えでしょうか。どちらか近いほうをお選びください。


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1.まず、債券と株式に二分割し、次いで、それぞれを国内と外国に分ける。
2.まず、国内と外国に二分割し、次いで、それぞれを債券と株式に分ける。






Q3 仮にオルタナティブというような自由な枠を設けずに、全ての資産を「債券・外国債券・株式・外国株式」という四資産分類に振り分けるとしたら、例えば、国内株式のロングショート戦略は、どう分類されるでしょうか。どちらか近いほうをお選びください。


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1.債券代替として、国内債券。
2.株式には違いないので、国内株式。






Q4 同様に、為替をヘッジした外国債券は、どう分類されるでしょうか。どちらか近いほうをお選びください。


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