2011/5/11開催 HC資産運用セミナーvol.041 セミナーレポート

HCセミナー
当日配布資料をPDFでダウンロードすることが可能です。

今回のセミナーには、総勢45名の方々にご参加頂き、誠にありがとうございました。

《 セミナーのまとめ 》

機関投資家は債務性を帯びた資産を運用していますが、その債務コストを上回る投資収益機会は必ず存在するはずです。
もしも、そのような機会が存在しないならば、債務負担をすることの経済的合理性自体がなくなってしまいます。

債務コストは、期間と、それに対応した金利で規定されます。
債務コストと同じ期間と金利で、債券を中心にした投資収益機会が存在するはずです。しかし、そのような投資機会は、コストと収益が一致するのみで付加価値を生まない以上、経済的には無意味です。管理費用等が別途発生することを考えると、その費用分を機会費用として固定化することにもなります。

資産運用の目的は債務コストを上回ることです。
運用の付加価値は、最低限、管理費用等を吸収できるものであることが期待され、それを更に上回ることが望ましいとされているはずです。資産運用の目的は、債務コストをいくらかでも上回ることです。一方、最低限、債務コストを上回ることは、目的である以前に、制約条件だろうと思われます。

債務コストを上回るための方法
債務コストを上回るためには、債務構造と異なるリスクをとるしかありません。債券を中心にした投資対象の中で期間のずれや信用のリスクをとるとか、債券以外の株式などのリスクをとるかです。

資産運用のリスクは、債務構造との差です。
債務コストを上回る付加価値を大きくしようとすれば、債務構造との差を大きくしなければならず、リスクが大きくなります。しかし、通常の機関投資家の運用の場合、債務コストを大きく上回るような付加価値を追求することは一般的ではありません。従って、債券を中心にした運用の中で、機関投資家の課題は十分に実現できるはずです。

債券を中心にした運用の中でのリスク分散が重要な課題です。
債券という区分の中でも、金利リスク以外の多様なリスクへ分散することが可能です。更に、リスクの許容度に応じて、債券という区分の外からも多様なリスクを導入することで、より効率的な運用が可能になる可能性があります。

債務構造が変動するリスクにも十分な配慮が必要です。
投資環境の変化は、債務の構造そのものを、程度の差こそあれ何がしかは、変化させます。投資サイドの損失が、債務サイドの変動を誘発することで、累積的に膨らむリスクこそが、今日の金融環境における本質的なリスクです。


次回、2011年 第6回HC資産運用セミナーは『金融の社会的機能と資産運用』です。

なお、本セミナーで実施致しました「セミナーテーマに関するアンケート」の結果に関しましては、
HCセミナー・アンケートレポート」にて公表予定です。