2010/07/14開催 HC資産運用セミナーvol.031 セミナーレポート

HCセミナー
※当日配布資料をPDFでダウンロードすることが可能です。

今回のセミナーには、総勢37名の方々にご参加頂き、誠にありがとうございました。

◆セミナーのまとめ◆

◆資産の売却による資金調達としてのアセット・ファイナンス
資金調達の一つの重要な方法に、資産の売却があります。単純な資産の売却ではなく、必要な資産の売却です。必要な資産を売るから、金融の一つの方法論として、意味をもつのです。このような資金調達方法の総称が、アセット・ファイナンス(asset finance)です。

◆資産担保金融との連続性
資産を担保にした金融と、資産の売却・譲渡・移転による金融との間には、経済的・法律的な視点での実質的同等性が、認められてきました。リース契約がそうでしょうし、譲渡担保の問題は、歴史的に古い議論です。

◆伝統的な金融手法の革新
担保融資に代表される伝統的金融手法に対して、その枠に収めにくい資金需要に対応するように、アセット・ファイナンスは発展してきました。

◆売却(真正)後の利用・使用関係
アセット・ファイナンスは、本来的に企業経営に必要な資産を売却することで、資金調達する方法です。必要だから、売却しても、賃料・使用料を支払って、使い続ける場合が多い。そのような特殊な売却だから、よく「流動化」という専門用語が使われます。しかし、売却は真正でなければなりません。

◆実物資産の創出
アセット・ファイナンスの結果、実物資産(リアル・アセットreal asset)が創出されます。オフィスビルの他、流動化の対象になるものの例としては、物流施設、運輸施設、エネルギー関連施設(エネルギーそのものに、一般性があるからです)などがあります。

◆キャッシュフローを生むがゆえの「適格な投資対象」
実物資産は、賃料・使用料等のキャッシュフローを伴っています。逆に、キャッシュフローを伴ったものだけが、適格な投資対象としての実物資産になります。

◆不動産へ投資しているのではなく、賃料収入を生む仕組みに投資している
不動産投資とはいっても、価格上昇期待だけの更地の保有は、投機的でこそあれ、適格性のある投資とはいえません。一方、商業ビル等の賃料収入を目的とした不動産投資は、りっぱな適格性ある投資です。

◆定期キャッシュフローを生む仕組み
不動産賃料に限らず、通行料、使用料、定期売却代金など、定期・安定的なキャッシュフロー創出の仕組みを、いかに考案するかが、実物資産投資の基本になります。森林資源も、紙パルプや建材の製造業者が安定的に買取る限りにおいてのみ、投資対象になります。

◆実物資産そのものではなくて、キャッシュフローを生む仕組み(買取り契約)が投資対象
定期キャッシュフローを生む仕組みは、契約によって構成されます。実物資産投資の理論的な対象は、実物資産そのものではなくて、契約です。リスクは契約に関するリスクです。実物資産の所有は、契約上の地位の対抗要件です。

◆レバレッジによる財務リスク
キャッシュフローを生む限り、収益性を高めるために、レバレッジ(借入)をつけることもできます。しかし、そのことが、財務リスクを発生させることに、注意がいります。

◆「金」の特殊性
投資対象としての金(金地金です)は、極めて特殊な投資対象です。キャッシュフローを生まない、純粋な価格変動だけの資産だからです。一方で、人類の歴史とともに古い投資対象でもあります。もしも、金が適格な投資対象だとすると、資本市場の中ではヘッジし得ない、資本市場の基底そのものが潜在的に持つリスクに対する、究極のヘッジ資産であると構成するしかないのではないか、と考えられます。


次回、2010年 第8回HC資産運用セミナーは『キャッシュフローを生む力としての資産価値』です。
是非とも皆様のご参加をお待ちしております。

なお、本セミナーで実施致しました「セミナーテーマに関するアンケート」の結果に関しましては、
「HCセミナー・アンケートレポート」にて公表予定です。