よみがえる金融―協同組織金融機関の未来 ―

よみがえる金融―協同組織金融機関の未来 ―

著者 新田 信行
出版社 ダイヤモンド社
発行日 2017/5/25
 「質」の時代への移行過程にある現在において、重要であるのは多様性であると述べられています。多様性とは独自性ともいえ、つまりユニークであることが求められます。
 本書では、第一勧業信用組合を舞台に数々のユニークな改革が具体的な手法とともに紹介されています。
 経営難に陥った第一勧業信用組合は、協同組織金融機関としてあるべきコミュニティバンクを取り戻すべく改革に取り組みました。地域に根ざした金融機関として、ノルマ型の営業方針を一転し、融資基準を改定、地域行事への積極的な関与も行いました。融資の判断においては、従来の定量面を重視する評価モデルから「人を見て、事業を見て、与信判断を行う」という定性評価を活用することとしました。
 そして小口融資に際し原則無担保のコミュニティ・ローンを誕生させることができました。芸者や割烹料理人といった独立を夢見る持たざる人々へ、開業資金を無担保で貸し付けます。担保の代わりとして見るものが、その人柄や組合長の推薦など定性的な側面です。これこそ、量を超えた質的な深化による融資判断であり、地域と密接不可分な協同組織としてあるべき姿であると思います。こういった活動が続くことで、担保主義がもたらした日本型金融排除を打破することもできると考えます。
 本書の改革手法もさることながら、特筆すべきは「誰もしていないことをする」という理想を掲げ、その実現に向けて実行する「行動力」であったと考えます。改革には多くの反対があったといいます。逆風の中、信念を貫く姿勢や人を動かす方法など、金融業界に身を置く人のみならず、本書から学べる点は多いです。
 本書は真に未来を志向する人を後押しする、そんな一冊であると思います。

この本を紹介した人

宮内 智輝

HCアセットマネジメント株式会社

2017年にHCアセットマネジメント株式会社に新卒で入社。 顧客の資産管理業務やポートフォリオマネージャーのサポート等幅広く業務に従事。 静岡県立大学 経済情報学部 卒業。

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