ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ株式会社
廣本 裕一氏インタビュー

interviewer:HCアセットマネジメント㈱ photographs:佐藤亘
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Q1. 御社の投資哲学および投資プロセスについて教えてください。

Q1. 御社の投資哲学および投資プロセスについて教えてください。
わが国産業のグローバルな競争力向上を究極の目的に据えて、個別事業・企業・産業の再生・再編に取り組んでいます。スポンサーである3メガ銀行、政投銀との協調をベースに、投資先企業に対するガバナンスと、専門人材の現場派遣による経営管理強化、成長戦略策定、生産プロセス改善等をサポートすることで、企業価値の着実な向上を目指しています。
個別の投資判断に際しては、当該企業の属する業界全般に関して徹底的な産業調査と将来シミュレーションを行っています。また、投資後の経営改善に当たっては、メイン銀行、経営陣、当社が三位一体となって、借入れ条件の見直しを含むバランスシートの改善、キャッシュフロー管理、経営の見える化を進めてまいります。同時に、当社が派遣する専門人材を活用して、営業政策の改革、製造現場の改善運動等を進めつつ、経営トップとの綿密な議論を踏まえて次の成長分野を絞り込んでいくという活動をしています。

Q2. 今どこに投資機会を見出していらっしゃいますか。なぜ貴社プライベート・エクイティ戦略に魅力があると考えていらっしゃいますか。

Q2. 今どこに投資機会を見出していらっしゃいますか。なぜ貴社プライベート・エクイティ戦略に魅力があると考えていらっしゃいますか。
少子・高齢化により縮小する国内市場に対し参加するプレーヤーの数が変わらない本邦各産業では、「業界ダウンサイジング」が喫緊の課題となっています。ダウンサイジングのためには設備廃棄、減損処理、人員整理といった一時的な会計上の損失処理が不可避であり、それにより棄損した株主資本を当社ファンドからの投資によって補填し、スムーズな経営再建、再編を進めていくという投資機会は「構造的に」増えてきています。
他方、縮小する国内市場から成長機会をアジア等海外市場に求める企業も多くありますが、残念ながら終身雇用・年功序列といった本邦企業が永年維持してきた人事・報酬体系を含む経営体制がネックとなって、海外企業の買収・運営に失敗するケースが後を絶たちません。こうした場合も、一時的な減損処理に繋がり、当社ファンドの投資機会となります。
当社ファンドが対象とする投資先は上場企業であるケースが多く、議決権を有する普通株式で出資することが株価形成面、既存株主の利害等で不適当な状況も見受けられ、種類株投資やPIPESなどPrivate Equityの手法が必須であると考えています。

Q3. なぜこの業界で働こうと思われたのでしょうか。

Q3. なぜこの業界で働こうと思われたのでしょうか。
前職の総合商社では、通算20年以上に亘り産業金融事業分野を切り拓き、不動産(上場REITである日本リテールファンド投資法人(TSE:8953)、産業ファンド投資法人(TSE:3249)などの投資法人、私募REIT)やインフラ、PE、ベンチャー・キャピタルなど幅広いアセットクラスで様々なファンドを設立してまいりました。この結果、機関投資家含む幅広い投資家層に対して新しい投資機会を創出し、資産配分の多様化、運用収益の安定化に少なからず貢献してきた自負があります。
これらオルタナティブ資産の中で、わが国のPE業界は欧米各国と比べてもファンド総額や支配する企業数が限られており、翻ってわが国の経済規模に比して成長余地が非常に大きいと見ています。また、わが国企業社会で続いてきた雇用慣習も次第に崩れつつあり、伝統企業に優秀な人材が集中する状況にも変化が見られ、よりクリエイティブな人材が柔軟な雇用機会を求めたり、若い世代が新規起業を目指す風土が次第に醸成されつつあると感じています。こうした有為な人材に活躍の場を提供する為にも、PEファンドがその規模と支配企業数を増加させる意義は大変高いものがあると考えています。

Q4. ポートフォリオ・マネジャーとしての信念をお聞かせください。常に心がけていること、あるいは、しないと決めていらっしゃることはありますか。

Q4. ポートフォリオ・マネジャーとしての信念をお聞かせください。常に心がけていること、あるいは、しないと決めていらっしゃることはありますか。
- 「真実はDetailに宿る」
現場の声を重視し、どんな小さな出来事も大きな変化の予兆となり得るという前提で、真摯に耳を傾ける。
- 「Bad News First」
悪い知らせ、耳の痛い話をしてくれる人を歓迎する。Bad Newsを持ってきてくれた人に感謝することを怠らない。
- 「投資とは未来予測である。」 
Bird Viewを失わず、グローバルなトレンド変化、各業界の動向、マクロ経済指標、人口動態を常時Updateし、10年後のイメージを洗い替えながら持ち続ける。
- 「経営とは人であり、人を動かすのは相互理解と信頼である。」 
信頼が維持されている限り、人は動かすことが出来、企業は変わっていける。
- 「Other People’s Money, Other People’s Services」
投資家に対する受託者責任が我々の行動原理の最上位概念であり、自らを厳しく律して説明責任をしっかり果たしていく。個別案件の取組みに際しては、自社の人材やノウハウなどのリソースにこだわらず有為な社外専門人材・サービスを積極的に活用していく。

Q5. どのようにお客様の資産保全を図るかお聞かせください。

Q5. どのようにお客様の資産保全を図るかお聞かせください。
個別の投資判断に際しては、当該企業の属する業界全般に関して徹底的な産業調査と将来シミュレーションを行っています。特に当社の強みである種類株投資の場合は、通常企業再建の時間軸として3年を設定し、経営戦略を経営トップとも徹底的に議論しています。同時に、事業分野毎のキャッシュフロー創出力に着目して月次の推移をきめ細かくモニタリングしつつ、種類株買戻しに必要な「償還原資」が用意出来ているのかを厳しくフォローしています。
万が一、投資先企業の業容が想定外に悪化するような場合は、自ら当社メンバーを率いて経営者として乗り込み、リーダーシップを発揮して難局を乗り越えるべく全身全霊で経営再建に取り組みます。

Q6. 投資に関するお奨めの書籍を1冊ご紹介頂けますでしょうか。

Q6. 投資に関するお奨めの書籍を1冊ご紹介頂けますでしょうか。
「The Hard Things About Hard Things」 by Ben Horowitz
Silicon Valleyで今最も影響力を持つベンチャーファンドであるAndreesen & Horowitzの共同創業者 Ben Horowitzによる半生記です。自らIT企業を起業しその売却益でA&Hを立ち上げた人物が、自らの起業の経緯、時に地獄を見ながらそれを乗り越えて事業を成功に持っていくストーリーは、決して成功譚とは言えず、数々の難局・失敗談が赤裸々に語られています。重要なのは、後段で自らの起業経験に照らして、ベンチャー・キャピタリストとしてスタートアップ企業とどう向き合い、どう育てていくか、貴重な哲学が語られている部分であり、全ての起業家、ベンチャー・ファンド、PEファンドに通じる真実を豊富な実例を踏まえて示しています。

Q7. 主に業務に関する情報収集の為に、毎日チェックされている媒体(新聞・雑誌・webサイト等)を教えてください。

Q7. 主に業務に関する情報収集の為に、毎日チェックされている媒体(新聞・雑誌・webサイト等)を教えてください。
日経新聞、Wall Street Journal、業界情報としてmergermarket、時々FT、Websiteではダイヤモンドオンラインの山崎元氏、高橋洋一氏のコラム、週刊ですが日経ベリタス、月刊誌では選択、Facta、インサイドラインといったところです。




インタビューは以上になります。


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