株式会社ストラテジックキャピタル
丸木 強氏インタビュー

interviewer:HCアセットマネジメント㈱ photographs:佐藤亘
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Q1. 御社の投資哲学および投資プロセスについて教えてください。

Q1. 御社の投資哲学および投資プロセスについて教えてください。
コーポレートガバナンスに改善の余地が大きく、本業のキャッシュフローが安定的であると当社が判断する企業に投資を行い、株主として改善を提案し投資先企業が変化することにより、割安に放置された企業の潜在的価値を実現し投資リターンの極大化を目指します。
コーポレートガバナンスの改善や保有する現金類似資産の有効活用により、相応の数の日本の上場企業に株主価値が向上する機会があると信じているからです。

具体的には、当社の基準で、現金類似資産等を保有し過ぎていてキャッシュフローが安定している企業で、かつ、株価が割安である銘柄群を抽出します。そして、当社の投資委員会のメンバーは、当社の運営するファンドが株主となった場合に、どのようなコーポレートガバナンス改善の提案ができその潜在価値が実現するかについてアイディアを熟考します。
そして、投資委員会のメンバーで再度議論し、最終的な投資先企業を決定します。

投資決定後は、市場で株式をある程度買付けた後、投資先の経営者に面談を求めます。その面談の場では、上場企業の経営者として何をすべきなのか、株主として何をして欲しいのか等について、面談の席で様々な提案を行います。当社の提案は、非常に率直なものです。丁寧にお伝えしますが、オブラートに包んだ伝え方はしません。

面談だけでなく、機を見て手紙により意見を伝えることも多く、また、面談や手紙の対象は、投資先だけでなく、投資先企業の親会社、政策保有株の持ち合い先の取締役等も含まれます。いずれにしても、私どもの投資戦略を実現するために、投資先企業やその関連する先に出来るだけ頻繁に意見を伝えるよう努めています。

さらに、状況に応じて、法令上株主に与えられた権利を行使することもあります。例えば、株主提案、株主名簿閲覧謄写請求、会計帳簿閲覧謄写請求、取締役会議事録閲覧謄写請求、株主代表訴訟などです。

Q2. 今どこに投資機会を見出していらっしゃいますか。なぜ日本株戦略に魅力があると考えていらっしゃいますか。

Q2. 今どこに投資機会を見出していらっしゃいますか。なぜ日本株戦略に魅力があると考えていらっしゃいますか。
1995年から2014年にかけて、日本の上場企業の純資産は2.3倍以上になりましたが、有利子負債はほとんど増加していません。一方で、同期間の日本のGDPは横ばいでした。すなわち、日本経済が停滞する中、上場企業は自己のバランスシートに資産を溜め込んできたわけです。
この事象は、1990年代以降のバブル崩壊や金融危機等に対応する企業の行動であったととも言えますが、私は、日本の上場企業のコーポレートガバナンスの水準が低いことに大きな原因があると考えています。上場企業の多くが、株主価値の向上を目指すのではなく、経営者と従業員が楽をすることを中心に運営されていることにより、企業に現金類似資産が溜まってしまったように感じます。
しかし、これら企業が保有する現金及び現金類似資産を有効活用すれば、日本経済全般の活性化につながると考えます。

投資対象として考えるなら、特に、中小型株には、株主価値に関心の低い経営者が少なくないこと等から、それぞれの企業の時価総額に比べて資産保有過多の割安株が多くなっています。

一方で、コーポレートガバナンス改革は、「日本再興計画2016」においてもアベノミクスのトップアジェンダとされています。2015年からコーポレートガバナンス・コードが東京証券取引所の規則として制定され、上場企業のコーポレートガバナンスは今後改善していくと思われます。しかしながら、実質を伴う改善には相応の時間を要するでしょう。すなわち、日本の上場企業にコーポレートガバナンスの精神が本当に浸透するまでの間は、当社の投資戦略が有効であり、その有効期間は相当長いと考えております。

Q3. なぜこの業界で働こうと思われたのでしょうか。

Q3. なぜこの業界で働こうと思われたのでしょうか。
証券会社に勤務していた際、1985年以降担当となって上場企業のエクイティファイナンスを数多くお手伝いしましたが、1990年代になって、私がやっていたことは、既存株主の利益に反することであったのではないかと思うようになり、このころから、「株主価値」について考えるようになりました。
また、1988年、私は通商産業省に出向した際に、そこに勤務していた中学・高校時代の同級生と再会しました。1990年に私が証券会社に復帰後も、私と彼は日本企業の株主軽視等の問題意識を共有し、「やはり、株主の立場からでなければ変化は起こせない」等と議論していました。
一方で、米国では1980年代から買収ファンドが活躍し、また、公的年金が公然と株主としての意見を投資先企業に伝えるようになり、日本でも株主の立場で投資先に経営改善等を提案する投資ファンドのビジネスチャンスが到来すると考えました。
以上のような背景から、私は1999年7月に証券会社を退職し、同年8月に上記の同級生と彼の大学時代の友人との3名で、投資運用会社を設立したのです。

Q4. ポートフォリオ・マネジャーとしての信念をお聞かせください。常に心がけていること、あるいは、しないと決めていらっしゃることはありますか。

Q4. ポートフォリオ・マネジャーとしての信念をお聞かせください。常に心がけていること、あるいは、しないと決めていらっしゃることはありますか。
当社は投資先企業に対し、株主の利益の最大化に向けて努力するように求めていますが、当社自身は当社の顧客の利益の最大化を追求しなければならないことは当然のことです。この目標を継続的に達成して顧客の信頼を得ることができれば、日本経済に貢献することもできると信じております。

具体的な投資運用の判断に関しては、熟考し議論して決めた方針は、その方針を変更すべき合理的理由がある場合を除き、変えません。そして一方で、合理的な理由があると判断した際は、速やかに方針を変更します。

Q5. どのようにお客様の資産保全を図るかお聞かせください。

Q5. どのようにお客様の資産保全を図るかお聞かせください。
当社の特色としては、中小型の資産保有過多の企業に対する集中投資であることです。現在のところ、投資先企業数は、8社から10社以内となっています。

その結果、日本株インデックスにある程度は連動するのですが、市場が大きく下がるときでも、当社ファンドの価値はそれほど下がらないことも多いのです。これは、当社ファンドの投資対象の特性により、ポートフォリオ価値の下方耐性があるものと判断しております。

当社の投資先は、そもそも割安に放置されている会社が多く、特に企業が保有する資産から見て割安であることから、トレーディング的なストップロスを設けることはふさわしくないと考えています。場合によっては、ファンド資金の動向に応じて、株価の下落局面で投資額を増加させることもあります。

アクティビストとしての提案がすぐに実現しなくとも、安易に撤退することはありませんが、投資先企業の業況等は常に注意深く監視しており、それが当初の見込みとかい離してくる場合は、方針を変更し速やかに売却を開始します。

Q6. 投資に関するお奨めの書籍を1冊ご紹介頂けますでしょうか。

Q6. 投資に関するお奨めの書籍を1冊ご紹介頂けますでしょうか。
まず、私が現在の職業に至るまでに、最初に影響を受けた本をご紹介します。それは、「アメリカのポートフォリオ革命」(井出正介 著)です。私が持っているのは、昭和61年9月初版です。既に証券会社に入って4年目でしたが、この本により、初めて「モダンポートフォリオ理論」なるものを知りました。今では、既にAmazon等でも手に入りにくくなっているようです。私は、この頃から、アメリカのM&Aや投資ファンドに関する本を読み漁りました。

また、現在は、文庫となっていて入手が容易な本として、「私の財産告白」(本多静六 著)があります。私がこの本を読んだのは、8~9年くらい前で、証券会社時代の先輩に薦められました。もっと若いときに出会っていれば、人生が変わっていたかもしれません。収入の4分の1を貯蓄し、それを株式や山林に投資し、増えた資産をどのように使うかなど、時代が違いますので実際にその通りに真似できるかどうか判りませんが、非常に示唆に富んでいます。

Q7. 主に業務に関する情報収集の為に、毎日チェックされている媒体(新聞・雑誌・webサイト等)を教えてください。

Q7. 主に業務に関する情報収集の為に、毎日チェックされている媒体(新聞・雑誌・webサイト等)を教えてください。
日本経済新聞、日経ビジネス、日経ヴェリタス
週刊ダイヤモンド、東洋経済、FACTA、選択、商事法務、
Bloomberg、FT等の英文媒体は、弊社社員がチェックして、関係のありそうな記事をピックアップしてもらっています。







インタビューは以上になります。



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