Leadenhall Capital Partners LLP
Luca Albertini 氏、John Wells 氏インタビュー

interviewer:HCアセットマネジメント㈱
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • mixiチェック

Q1 貴社の投資哲学について教えてください。特に保険関連の資産に特化している理由と、どのように安定したリターンを生み出しているかといった点をお示しください。

Q1 貴社の投資哲学について教えてください。特に保険関連の資産に特化している理由と、どのように安定したリターンを生み出しているかといった点をお示しください。
LLPは機関投資家を対象に非生命と生命に関連した保険商品への投資機会を3つのオープン・エンド型専用ファンド(さらにいくつかのマネージド・アカウント)により提供しております。主に非生命保険に投資するファンドについては2つあり、一つはValue Fund(非生命保険のみ)でもう一つがDiversified Fund (最大20%まで生命保険を組み入れ可能)となっています。別に生命保険のみに投資するファンドがあります。


これらのファンドは巨大な自然災害(ハリケーンや地震)による資産損失やその他の付保可能なリスク(例えば、海上保険)に対しエクスポージャーを持っている保険商品に投資することによって、純粋に再保険のリスクを提供しようとするものです。
生命保険戦略においては投資家に主に死亡や疾病のリスクに中心を置いた生命保険リンク資産からの収益機会を提供するものです。

なぜ保険リンク資産に特化するのか?

Leadenhallの設立者たちはSwiss Reにおいて保険リンク証券(ILS)登場の開発段階から同商品にかかわり、ILSは機関投資家に分散効果と低相関をもたらすと考えていたからです。とりわけ、今日のような低金利の市場では、投資家はこのセクターからの魅力的なリターンに加え伝統的な株式市場や債券市場からのリスクを分散することができます。弊社とAmlin PLC(ロイズ保険市場のリーディング企業)のジョイントベンチャーによって他では提供できないような広範な主要保険会社が持つリスク、CATボンドやIWS(Industry Loss Warranties)へのアクセスが可能となっています。我々はポートフォリオの構築にあたり投資家の根底にある目的に合わせてこれらの投資商品の中から相対的な価値をもとに選択をしています。

保険の持つテイルリスクをアクティブにヘッジすることはコストが高いので行っていませんが、多数、かつ少額の投資をすることによってポートフォリオのリスク分散を図り同業他社に比べ相対的には米国の暴風へのエクスポージャーを減らしています。

Q2 現在の投資機会、業務規制の状況、再保険会社リスクのオフバランス化志向、地球温暖化との関連などについて教えてください。

Q2 現在の投資機会、業務規制の状況、再保険会社リスクのオフバランス化志向、地球温暖化との関連などについて教えてください。
資本市場のファンドからは広い意味では以下の3種の保険リンク資産に投資されております

1.自然災害
 発生頻度の少ないが起これば被害の大きい自然災害(米国または日本での地震、日本、米国、欧州での暴風雨、欧州での洪水)が資本市場の投資家にとって投資機会といえます。再保険業界では自然災害の中でも大災害の可能性があり特に集中的に保険がかけられている地域を「ピーク(ゾーン)」としおり、この中には東京の首都圏、米国の北西部、フロリダ、メキシコ湾岸、カリフォルニア、欧州が含まれております。保険会社や再保険会社にとっては一定水準を超えたこれらピーク地域へのエクスポージャーを再保険にかけることで資本規制や格付けを維持することができます。一方、このような保険会社からのリスク移転需要は投資家にとっては魅力的なリターンとなります。

2.特殊保険
 特殊なテールリスク(例えば、テロリズム、海難事故、人工衛星、航空、大きな産業災害など)をショートすることも資本市場の投資家にとって魅力的なリスク/リターンをもたらすとともに、ピーク地域への保険エクスポージャーを分散できます。

3.生命保険
死亡率(上昇)リスクは保険会社と再保険会社にとってある種の「ピーク(集中された)」エクスポージャーであり、これまでも資本市場の投資家に対し証券化された商品が提供されてききました。死亡率リスクはボラティリティが低いということと死亡率上昇につながるような進展(例えば、伝染病の流行)をモニターできるということから投資家にとってかなり魅力的です。保険会社や再保険会社にとってはこのリスクをカバーすることで格付けや資本規制維持ができ、資本効率の改善につながります。

Q3ある種のCATボンドには信用格付けもありますが、保険関連商品に内在するリスクは信用リスクとはかなり異なっているといえます。どのようなリスクを考慮する必要があるのか、また投資家保護のためにこれらのリスクをどのように軽減するのかをお示しください。

Q3ある種のCATボンドには信用格付けもありますが、保険関連商品に内在するリスクは信用リスクとはかなり異なっているといえます。どのようなリスクを考慮する必要があるのか、また投資家保護のためにこれらのリスクをどのように軽減するのかをお示しください。
主なリスクは以下のような点となります

1.イベントリスク
これはイベント(たとえば台風や地震)の起きる確率です。イベントの発生を阻止したり、いつ、どこで、どの程度のイベントが起きるかを予測することはできません。リスク軽減のための戦略は大きなイベントに起因する損失の深刻度合いを目標のリスク内に収めることです、このためにはポートフォリオ構築に当たり組み入れ証券の細かさ(サイズ)や分散度合いを望ましいレベルに設定することが必要です(従って、ポートフォリオを構築すること自体がリスク軽減と言えます)。

2.保険引き受けリスク
 補償すべき損害額は保険リンク証券の買い手が稚拙な仕事をした場合には増幅しがちです。実損補償型(損害額があらかじめ合意された金額を超えることで買い手の損失となる)の保険に投資する際は、買手は保険の引き受けプロセスや、関連するスタッフ、販売チャネル、補償請求手続きなどを精査する必要があり、それぞれの要素を理解することがリスクと戦う要諦と言えます。資本市場の投資家が再保険業者とパートナーを組む主な理由がこの点にあります。再保険業者は自らが大きな補償の買い手の一角であり、より徹底したデューディリジェンスを行う要員を抱えているからです。

3.担保に関連した信用リスク
殆どの保険リンク証券(ILS)は担保付となっています。担保となる証券の選択が信用リスクの源泉となっています。ILSおよび私募の保険商品は信用リスクを最も限定するため米短期国債や米短期国債からなるMMF(TMMF)を使うことが主流となっています。

4.構造上(Structuring)のリスク
ILSおよび一連の商品は、仕組み型商品であり、意図しない課税リスク、損失の増大、担保の喪失、補償することに同意していないリスクを招くような文言を最小化するため、その仕組み自体を精査する必要があります。このため目論見書や仕組みに関する文書を的確に分析するためチーム内の専門家が動員されます。2008年の運用開始以降、このリスク軽減への取り組みがリデンホールの運用成果に貢献し、CATボンドに起因するすべての損失を回避してきました

5.為替、金利および市場リスク
保険リンク商品の投資家はヘッジし得るものの、為替や金利リスクも負っています。また商品自体の価格変動リスクは運用者の経験によって管理されています。

Q4. なぜこの業界で働こうと思われたのでしょうか。

Q4. なぜこの業界で働こうと思われたのでしょうか。
John Wellsは2000年にスイス再保険の資本市場部門を創設し、一方Luca Albertiniが欧州ILSデスクを立ち上げました。ここでLucaは案件発掘と商品化を担当しておりました。彼の役割は自ら組成した保険リンク商品に投資しているファンドマネージャーたちと交流することでした。LucaとJohnは保険リンク証券に投資をするということはトレーディングをするというよりはポートフォリオ構築や引き受けに近い業務と信じていたからです。
Lucaの気が付いたことは競合他社たちが保険引き受けモデルの商品化をする際に保険を引き受けるためのスキルを殆ど使っていない(通常の引き受け業務で使われる10%かそれ以下の労力)ということでした。そこで、二人は独立した銘柄選択プロセスを持つ運用会社ではなく、再保険会社(当然ながら保険会社の株主ではない第三者たる我々の投資家の利益を追求)と連携した運用プロセスをもつ運用会社の設立が大きな潜在性と先行者利潤を伴うユニークなビジネスモデルとなることを確信しました。今日までこのビジネスモデルは市場参加者の賞賛を受けてきましたが誰からもまねされることはありませんでした(なお、ファンドマネージャーへの支払いを最終的には再保険会社が決めているということもあり、他の保険関連の運用会社が再保険会社から完全に独立というわけではありません )。そのようなことから我々は運用の世界に貢献する確かな価値を築いたと思っており、自身の決断に満足しております。

Q5.信念をお聞かせください。常に心がけていること、あるいは、しないと決めていらっしゃることはありますか?

Q5.信念をお聞かせください。常に心がけていること、あるいは、しないと決めていらっしゃることはありますか?
我々の信念は「運用会社の責務は顧客の投資(目的)を完全に理解することと、リスクを最少にしつつその目的達成を目指すこととにある」という点です。最も重要なことは運用会社が顧客のリスクとリターンの目標を理解し、その上で取っているリスクを公正で透明性のある方法で顧客に説明することといえます。我々への高い評価は、運用成績とともに透明性の高い顧客とのコミュニケーションを通じた運用目標の理解の上に成り立っております。してはならないことはより大きな成功報酬を求めて顧客の資産からより大きなリスクをとって超過収益を狙うことと言えます。

Q6. 投資でおすすめの本はありますか?また、その理由をお聞かせください。

Q6. 投資でおすすめの本はありますか?また、その理由をお聞かせください。
ILS投資に関する参考書としては“The Handbook of Insurance-Linked Securities” Willy社があります。著者はLuca AlbertiniとBarrieu教授(London School of Economics)です。Lucaが著者の一人という点でこの本の推奨にはいささかバイアスがかかっているかもしれません。
Amazon Kindle版で¥9420

もう一つの本は”Alternative (Re)insurance Strategies” Risk Books社があります。 著者はILS業界での有能なコンサルタントで収録された各論文は高水準である。なおILS投資におけるリスク管理に関する章にLuca Albertini が寄稿している。

Q7.どのような情報を日々チェックされていますか?

Q7.どのような情報を日々チェックされていますか?
保険業界メディア :Insurance Insider, Trading risk and Artemis
一般メディア :Financial Time, BBC News and Bloomberg
その他Website :災害公報の入手先 http://www.tropicalstormrisk.com/index_.html

AIR Alert, Met Office, USGS, NOAA, JTWC, Perils, PCS, Munich Re NatCatService, Swiss Re Sigma, and the websites of all the major broking firms2






インタビューは以上になります。



リスク・手数料などの重要事項に関するご説明