EuroFin Investment Pte Ltd
Christian Stauffer 氏インタビュー

interviewer:橋本 あかね(HCアセットマネジメント㈱ 常務取締役 運用部長) photographs:佐藤 亘
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ストーファー様がお持ちの投資哲学、アジア貿易金融に注目された理由、そして運用の特色についてお聞かせください。

ストーファー様がお持ちの投資哲学、アジア貿易金融に注目された理由、そして運用の特色についてお聞かせください。

私は20年間コモディティおよび素材の貿易と金融に携わってきました。その内15年は家族と共にアジアで暮らしています。アジアに関わるようになった90年代半ばには、コモディティはまだ格下の目立たない資産クラスで、アジアのほとんどは政府系購買組織が支配する市場でした。この90年代半ばからようやく民間企業が興隆してきたのですが、アジア危機、SARS危機の後、ノンバンクの貿易金融会社が一定のシェアを取る可能性のあることがはっきりしてきました。銀行が資産圧縮を始める一方、素材価格はじわじわ上昇してきました。私の投資哲学は実態経済に根差していて、特に素材と資源の動向に注目しているのですが、素材の生産と交易はアジア諸国のどの国の経済にとっても大きな分野で、消費拡大とともに成長しています。私どもが注目するのはこの点であり、チーム一丸となってこの領域における専門性を磨いて参りました。また、アジア中心の戦略としているもうひとつの理由は、リスク管理上、地理的要素が重要だと思うからです。自らを単なる資金の供給者としてだけでなく、企業の成長に貢献する事業パートナーと位置付けているので、企業の所在地に物理的に近い場所にいたいと考えているのです。
戦略面に話を移しますと、商品の流通に不可欠な短期の運転資金を提供しています。商社-生産者間の短期貿易金融ニーズを橋渡しすることで、成長の一翼を担っているつもりです。商品の生産から小売りまでのサプライチェーン全体をモニターするなかで流通の一過程に資金を提供しているのですが、そうすることで取引先の事業の成否を左右することにもなりますので、単なる資金の出し手というよりは事業パートナーに近い役割を果たしていると思うのです。チーム全体が貿易に携わった経歴を持っていることで、取引先の事業をよりよく理解できると思いますし、リスクの所在を押さえつつ適切なモニタリングができているのだと思います。最大の目標は、投資家の皆様の資産を保全することですので、投資の方法や投資対象の選択は過度と言える位に保守的かもしれません。結果、量の追求ではなく質の追求に大きく傾斜しています。

今注目している投資機会について教えてください。

今注目している投資機会について教えてください。
次の構造的要因が絡んでいるところに大きな投資機会を見出しています。

1.天燃資源や素材産業における安定的な価格上昇と物量の伸びが貿易金融の需要を後押ししていること。
2.銀行の貿易金融に関する資本コストが資産圧縮をせざるを得ないなかで高まっていること。
3.銀行統合の流れが続くなか貿易金融の供給量が全体的に減少してきていること。
4.バーゼルⅡおよびバーゼルⅢの影響で、銀行は資本コスト調整後の資本利益率を追求するに当たって仕組化された小規模取引よりも無担保の大規模取引を重視するであろうこと。
5.この景気後退期において銀行が資金供給者としての役割を果たしきれていないことで、貿易金融の提供者としてノンバンクが注目を浴びつつあること。

アジアは天然資源や素材の生産および消費において世界最大規模の市場ですので、当戦略にとって大きな投資機会はしばらく続くと考えています。

ポートフォリオ・マネジャーになろうと思われたきっかけをお聞かせください。

ポートフォリオ・マネジャーになろうと思われたきっかけをお聞かせください。

ポートフォリオ・マネジャーになることが、機関投資家に対して貿易金融という資産クラスを紹介する優れた方法だと考えたからです。
この分野で資格要件と専門性を持ったチームは殆どありませんが、私は、ノンバンクとして機関投資家に対して貿易金融に対するアクセスの機会を提供しようとの目標を共有する熟練したチ-ムに囲まれているという点で幸運であると思います。
また、常に実際の取引と向かい合うという仕事の環境が好きです。取引先の発展に貢献できますし、ひいては経済の持続的成長にかかわることも出来るからです。

ポートフォリオ・マネジャーとしての信念をお聞かせください。常に心がけていること、あるいは、しないと決めていらっしゃることはありますか。

ポートフォリオ・マネジャーとしての信念をお聞かせください。常に心がけていること、あるいは、しないと決めていらっしゃることはありますか。
投資家と運用会社、あるいは運用会社と投資先の間で、限りなく高い誠実な関係を構築できると信じています。運用会社として、私どもはガイドラインの範囲内では運用を委ねられており、その資金は貯蓄や年金や寄付金を管理している方々から託されている機関から来ていますので、注意深く、専門家として実行しなければなりませんし、とても重い責任を負っていると考えています。投資家と運用会社が同一の目標を目指すなかで、運用会社は投資家に対して完全な透明性を提供すべきと思います。
達成しようと努めているのは、貿易金融の専門家として行わなければならないこと以上でも以下でもありません。投資家に満足のいくリターン系列を提供するために、当該資産クラスを良く知る者として地道に厳格にリスクを管理していくことと考えています。
反対に、決してやらないことは、運用資産額を大きくすることを優先して投資家の期待を疎かにすることです。使命を真剣に捉えることこそ、成功のカギだったと信じています。
貿易金融を行う上で最も重要な規律は、多様な実務経験を背景に、どんな取引についても実行状況を常時モニタリングし続けることです。取引先を知ることが、リスク管理においては一番価値のあることです。

どのようにしてお客様の資産保全を図るかお聞かせください。

どのようにしてお客様の資産保全を図るかお聞かせください。

これはまさに私どもの日々の努めです。先ほどから申し上げていますが、主たる目標が投資家の資産保全ですから、これは最優先事項となります。
ポートフォリオが十分に分散されていることや、融資先の企業について最新の生の情報を得ていることを常に確かめています。それから、妥協せず、常に業務プロセスやシステムの改善にも取り組んでいます。また、新しい業態や市場環境といったものから示唆に富んだ教訓を得ています。さらに、グローバル経済の動向が保有資産にどのような影響を与えうるかを常に把握するようにしています。このようにして、正しい状況を理解しようとしています。

投資に関するお奨めの書籍とその理由を教えてください。

投資に関するお奨めの書籍とその理由を教えてください。
投資に際しては、実務に根差した現実的なアプローチを信じる性質なので、本とか読書については古臭いかもしれません。好きな本を一つ挙げれば、ベンジャミン・グラハム氏作の「賢明なる投資家」という本があって、簡易で現実的な内容で、やや古いのですが投資を考えるには未だに有効だと考えています。
そのほかでは、フランソワ-セルジュ・ラビタン氏作の「ヘッジファンド・ハンドブック」を座右の銘としています。著者は学生時代の友人で、オルタナティブ投資業界全般に対して示唆に富む本だと思います。それ以外では、投資に限らないということであれば、伝記や歴史小説が好きです。

定期的にチェックされている媒体(新聞・雑誌・webサイト等)を教えてください。

定期的にチェックされている媒体(新聞・雑誌・webサイト等)を教えてください。

この点についても古臭い方だと思いますが、様々な情報源から得る情報の量に圧倒されていると思っています。私は、情報の大部分をインターネットから得ています。日次では、毎日FTとシンガポール版のビジネス・タイムを読んでいます。ビジネス・タイムでは時に貿易金融関連の特集が組まれるんです。週次では、エコノミスト誌が好きで、そのほかのビジネス情報は様々なインターネットサイトから得ていますが、これといった好みはありません。真剣に重要情報が必要な場合には、ほとんどの場合、個人的な知り合いや友人の伝手をたどることにしています。

インタビュー後記

インタビュー後記
貿易金融は銀行ないし商社系金融の主戦場とのイメージを持っていましたが、バーゼルの影響で、ファンド業界にも随分多様な機会が広がってきたと感じます。
今後とも、真に資金を必要とする会社に資金提供する機会を広く探していこうと思います。







インタビューは以上になります。



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