株式会社 シンフォニー・フィナンシャル・パートナーズ
代表取締役 デビッド・バラン氏 インタビュー

interviewer:橋本 あかね(HCアセットマネジメント㈱常務取締役 運用部長) photographs:佐藤 亘
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Baran様がお持ちの投資哲学と運用の特色についてお聞かせください。

Baran様がお持ちの投資哲学と運用の特色についてお聞かせください。
我々は投資先経営陣と共同で企業価値向上策を実施し、企業価値の最大化の実現を目指すバリュー投資家です。バリュー投資は、長期的には最も成功する投資手法であることが、何十年にも及ぶ研究で証明されていますが、実行できる人は多くはいません。私はバリュー投資の教育プログラムが充実しているコロンビア大学で修士号を取得したので、バリュー投資家を目指すことは自然なことでした。

多くのバリュー投資家と同様、我々はバランスシートが健全で、借入が少ない、強固な事業会社を好みます。参入障壁が高いユニークな事業にも関心があります。政府の規制の影響を強く受ける業界は好みません。

株価が割安というだけではなく、投資先の選定に当たっては、経営陣が有能であることを重視します。会社成長と経営は表裏一体であり、いかに優れた事業であっても、経営が軟弱であれば、成功の可能性は少なくなります。経営者自らが大口株主であると尚良いです。株価の上昇が経営者にとってインセンティブとなりますから。

私どもが投資をする際には、相当程度の持分を取得します(マイノリティであっても、一定の影響力を確保できる程度の株式数を取得)。世間に真の企業価値を理解いただけるよう、経営陣と一体となって働きたい、との意思を経営陣に伝えたいからです。

投資先企業のバリューアップに携わっていらっしゃいますが、経営陣の反応やバリューアップの手ごたえについて、3-5年前と比べてどのような変化を感じますか。

投資先企業のバリューアップに携わっていらっしゃいますが、経営陣の反応やバリューアップの手ごたえについて、3-5年前と比べてどのような変化を感じますか。

会社設立の2003年頃との対比では、コーポレートガバナンスが定着し、株主に対する利益還元について、多くの経営者の意識が高まったように思います。かかる傾向は、2008年の金融危機後、顕著に見られます。金融危機や経済減速を経て、経営陣は、今までに無く、株主の信頼を勝ち取るための努力を惜しまなくなってきているようです。同時に、外国人投資家だけでなく国内投資家も透明性や説明責任に対する要求を高めています。
最も変わったと感じるのは、企業側でなく、投資家側、特に国内投資家の姿勢です。経営の改善や利益還元を求める声は、引き続き、日本の企業経営やIRの改善を促進していく原動力となるでしょう。初めは表面的でしたが、規制当局 東証、官公庁、年金基金や生保などの機関投資家は、みな、一様に、更なる利益還元を求めるようになりました。
かかる傾向は、上場することの意義とメリットとして、認識され始めています。M&AやMBO、その他カタリストとなりうるコーポレートアクションに関心を示す企業が増え、シンフォニーにとっては、投資機会が増えています。

どのような投資機会に注目していますか?

どのような投資機会に注目していますか?
日本株は20年前の水準で取引されており、特に、バリュー投資家にとっては潤沢な投資機会があります。日本株は、海外からも、国内からも注目されていませんが、外国人投資家は再び注目し始めています。PBR1以下、一桁台のEV/EBITDA倍率で取引されている日本企業は多く、清算価値よりも、時には、現預金残高よりも割安な水準となっています。ミスプライシングはどの株式市場でも一時的には起こり得ますが、これほど多くの企業が同時にミスプライスされるケースは滅多にないことです。真の事業価値が市場で再評価されることが期待される堅固な事業会社に投資する絶好の機会です。先ほどもお話しましたように、コーポレートガバナンスが定着してきたため、経営陣はM&A・自社株買い・配当政策など、株主に対する利益還元策を重視するようになっています。株価再評価の可能性が高まっているわけです。

市場で放置されている事業会社のうち、我々は、卓越した技術力を持つ企業、寡占企業、景気回復の恩恵を受けうる企業、クリーンエネルギー政策で恩恵を受けうる企業、その他環境にやさしい製造業を探しています。加えて、中国を中心とするアジアの自律的成長の恩恵を受けうる企業は、日常的に調査しています。
その他、あまり投資機会として論じられることはないのですが、相続対策が挙げられます。オーナー社長に対して節税対策を提案したことがあるのですが、ディスクロージャーの強化やJSOX・IFRS対策など上場企業にますますの情報開示が課せられているので、上場廃止を検討する経営陣が増えているんです。相続対策を検討中の企業にとって、非公開化にはメリット高く、今後とも案件が増えそうな分野だと思っています。

運用の仕事に携わろうと思われたきっかけについてお聞かせください。

運用の仕事に携わろうと思われたきっかけについてお聞かせください。

私はゴールドマンサックス証券でプロップトレーダーをしていましたが、大きな組織では機動的に動くことが困難でしたし、常に会社全体の業績が担当部門の業績に同影響するのかを気にかけていないといけませんでした。また、他部門や海外異動の可能は常にありました。私は日本に配属され、日本に住むようになりました。
バイサイドに転向し、特に、柴田(シンフォニー共同設立者)とシンフォニーを設立したことで、より、起業家精神をもって、ワクワクしながら、投資できるようになりました。
セルサイドからはアクセスできず、投資できないすばらしい会社が日本にはたくさんあります。バイサイドへ転向することにより、先入観にとらわれずに投資機会を発掘し、投資家のみなさまに利益還元できるようになりました。 

独立された経緯や創業の想いについてお聞かせください。

独立された経緯や創業の想いについてお聞かせください。
2000年に柴田一彦と共同でシンフォニー・フィナンシャル・パートナーズを設立しました。
我々は会社設立前から、いくつもの非公開株式の投資やアドバイザリープロジェクトで接点がありました。お互いの専門性は異なります。
柴田は野村證券でM&Aアドバイザリーの経験を18年間積んでいました。私は外資系証券会社で、日本株および株式デリバティブ商品のプロップトレーダーとしてキャリアを積み重ねてきました。
お互いに、一緒になれば、日本で過小評価されている上場会社に投資し、経営陣と一体になって事業価値の向上を図っていくことが出来るのではないかと考えたんです。2003年にSFP Value Realization Fundを立ち上げました。
1: 優良な事業と健全なバランスシートを持つ、日本及びアジアにおけるディープバリュー企業への長期的観点からの投資による、低リスク高リターンの達成、2: 投資先経営陣と共同した企業価値向上策の実施による、企業価値の最大化の実現が我々の投資理念です。

投資に関するお奨めの書籍を1冊ご紹介頂けますでしょうか。

投資に関するお奨めの書籍を1冊ご紹介頂けますでしょうか。

これは難しい質問ですね。みなさんが読んだらいいと思う本を3冊紹介します。
1. Security Analysis by Benjamin Graham and David Dodd
(邦題)証券投資論、(著)ベンジャミン・グラハム、デーヴィッド・ドッド
2. Reminiscences of a Stock Operator by Edwin Lefevre
(邦題)欲望と幻想の市場―伝説の投機王リバモア、(著)エドウィン・ルフェーブル
3. Secrets of Professional Turf Betting by Robert Bacon
(邦訳なし)競馬プロの秘密、(著)ロバート・ベーコン

3冊とも、投資プロセスについて異なる洞察をしています。Security Analysisはバリュー投資の教科書的著書で、プロ・アマにかかわらず、全ての投資家は証券投資を始める前に読むべきでしょう。投資の意思決定の枠組みについて教えてくれます。
Reminiscence of a Stock Operatorは市場の機能に関する古典的物語です。バリュエーション理論よりは、市場で損益が発生する仕組みについての解説が充実しています。
最後にSecrets of Professional Turf Bettingは、リスク管理を再考する本です。競馬プロのリスク管理の秘密を考察しています。市場と類似した機能を持つ産業における事例に焦点を当て、学術論文とは異なる観点で論じています。この本の読書を必須とする米国のヘッジファンドがあると聞いています。

主に業務に関する情報収集の為に、毎日チェックされている媒体(新聞・雑誌・webサイト等)を教えてください。

主に業務に関する情報収集の為に、毎日チェックされている媒体(新聞・雑誌・webサイト等)を教えてください。
日経産業、日経ベリタス、株式新聞、アジア・ウォールストリートジャーナル、ヘラルドトリビューン、日経新聞、フィナンシャルタイムズ、ブルームバーグ、Grant’s Interest Rate Observerなど多くのメディアに目を通しています。

ウェブサイトでは、下記をチェックしています。

東京証券取引所 日本証券業協会 
International Accounting Standards Boards 
Financial Accounting Standards Boards ASBJ / FASF Accounting Audit & Management 
あずさ監査法 金融庁 独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 
Board of Governors of the Federal Reserve System 
MORTGAGE BANKERS ASSOCIATION Moodys.com Standard & Poor's R&I NOW JCR 
帝国データバンク BIS Gov.cn semi 産業タイムズ社 社団法人 日本工作機械工業会 
社団法人 日本繊維機械協会

インタビュー後記

インタビュー後記

中小企業のTOBプレミアムが急騰しており、何か変化の兆しが見え出しているようです。株主として、経営効率の上昇やオーナー系企業の継承問題に取り組んでいらっしゃいますが、かかる存在は全ての企業に必要ではないかと感じました。






インタビューは以上になります。




リスク・手数料などの重要事項に関するご説明