2015年1月14日(水)開催 HC資産運用セミナーvol.085『実物資産投資とアセットファイナンスの意義と方法』セミナーレポート

HCセミナー

■動画ダイジェスト


 オブジェクト・ファイナンスの概念としては企業に資金を貸すコーポレートファイナンスの延長であり、オブジェクトへ資金を貸すもので、オブジェクトとはモノと目的両方を含んでいます。一般的に企業が資金を借りるときの資金使途としてモノを取得することが多く、そのモノであるアセットの取得を独立させてファイナンスする取引がアセットファイナンスとなります。また目的である商取引における売り手の資金回収までの時間をファイナンスするトランザクションファイナンスもオブジェクトファイナンスのひとつです。

 通常の与信等と異なる点は、コーポレートガバナンスが重要視されるか否かということです。コーポレートファイナンスにおいて、投資家や債権者などの資金提供者の側からすると、ガバナンスが働き適正に資金が使われているかは懸案事項となりますが、モノを対象とするオブジェクトファイナンスであればガバナンスは問われません。本来資金調達において、まず資産の売却で得るのが原始的で簡単な方法であり、銀行融資等の債務の負担を経て、最後に資本の調達という方法がとられるべきです。しかし、東京電力は2010年に大規模な公募増資を行ったことで株価は20%も下落しましたが、後に調査委員会の査定で遊休資産が5,000億円程度にも上ることが判明しました。充分に売却できる資産がありながら、安易に公募増資を行ったことはコーポレートガバナンス上、看過できない事態と言わざるを得ません。マクロ経済の観点から日本企業のバランスシート上、莫大な預金を持ったままでいることは問題であり、本業に必要な資産を見極めて資産を売却し、ROEを改善することが期待されます。

 本業に必要な資産ですが、エアラインビジネスにおける航空機は業務の中核的な資産ではあるものの、所有することは必要でなくリースすることで運行させることができます。エアラインビジネスはLCCの台頭など成長産業である一方で、高い倒産確率を考慮するとバンカブルではありません。世界的には既に航空機をリースすることが主流となり、コーポレート・ファイナンスからオブジェクト・ファイナンスへ移行しています。その背景には規制緩和があり、競争激化と同時に金融の革新をもたらしたといえます。金融の仕組みを変えない限り規制緩和は成立しないといっても過言ではなく、金融の仕組みを変えずにLCC大量参入を認めたことが今般のスカイマーク問題を引き起こした要因のひとつとも指摘できます。

 
 規制緩和について現状で最大の論点となっているのは電気・ガスの問題です。典型的な例として、東京電力はもはや新しい発電所建設が見込めないため、他電力会社との合弁による発電所で電力調達をすることになるでしょうが、何千億円ものプロジェクトの資金を調達すると財務上大変な負担になります。総括原価方式のもとではコストを電気料金に転嫁できるため赤字になることは論理的にはありません。しかし電気事業法改正で総括原価方式が撤廃されると簡単に赤字転落する可能性が出てきます。東京電力が莫大な負債を抱えて規制緩和すると金融的に困難な状況に陥ることになりますので、電気事業改革は金融の仕組みをも変えるべきでしょう。現状の融資や社債発行といった資金調達方法から発電所そのモノに融資するというオブジェクトファイナンスという方向性を模索することが望ましいのではないでしょうか。

以上


(文責:峯岸)

  当日配布資料をPDFでダウンロードすることが可能です。





■セミナーで実施したアンケートの集計結果

Q1不動産ファンドや、インフラストラクチャ・ファンドの中には、開発案件を含むものもあり得ます。つまり、既存の稼動している不動産や施設の取得だけではなく、新たなる建設による取得も可能にしているタイプのものです。これに関して、一番近いと思われるものを、一つだけお選びください

<クリックで拡大>
1. 運用者の技術は、基本的に、金融に関するものなので、既存のキャッシュフロー 評価はできても、新規の開発を行うことまでは、技術的に無理なはずである。故に、開発は行うべきではない。

2. 既存の物件といえども、維持管理や価値上昇のための追加投資等は行わざるを得ないのだから、運用者の能力には、新規開発もできる程度の技術を含んでいるはずだ。キャッシュフローが合理的に読めるような案件を厳選して、一定の上限をつけて行う限り、問題はない。

3. 不動産やインフラストラクチャの運用者は、当然に、開発もできるだけの十分な専門的技術を備えていなければならない。 新しい投資機会は、積極的に、開発すべきである。

4. その他

5. 無回答

Q2 もしも、実物資産投資を検討するとしたら、その動機は、どのようなものでしょうか。一番近いと思われるものを、一つだけお選びください。


<クリックで拡大>
1. 投資対象の多様化の一環として。
2. 安定的なキャッシュフローを得るために。
3. インフレに対するヘッジ資産として。
4. 資源の希少性が作り出す投資機会として。
5. 先進国の財政難が作り出す投資機会として。
6. その他 

Q3 金(金の地金)は、機関投資家にとっての適格な投資対象だと思われますか。


<クリックで拡大>
1.適格な投資対象である。
2.適格な投資対象ではない。
3.無回答

過去のセミナーレポート

過去に開催した弊社主催セミナーのダイジェスト・配布資料・セミナー内で行ったアンケートの集計結果についてご覧いただけます。