静的な規制

2017/12/21更新
顧客の利益の保護のため厳格な外形基準を定め、その画一的な遵守を一方的に求めて徹底させることで、金融機関との直接的な交渉を極力行わないようにすることによって、規制の虜を回避しようとする金融規制のこと。しかしながら、金融機関のほうが知識と経験と能力の面で規制当局に圧倒的に優越することは動かし得ない事実であり、故に、金融機関は、いとも簡単に、形式的には完全に規制を遵守するなかで、実質的には著しく規制の主旨に反することを工夫してしまうわけである。しかも、規制当局としては、問題事象が顕在化するまでは事態の進行を知り得ないので、未然に防止することができないのである。この対策として、森金融庁長官は「動的な監督」に転換したのである。この方法は煎じ詰めれば、対話という二文字に収斂するが、この対話は、字義通りに、対等な二者間の意見交換と解すべきものであり、対話においては、規制目的へと常に遡求することで、真の顧客の利益の保護を実現しようとするものである。

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