単名のころがし(タンコロ)

2017/03/02更新
銀行等は、短期融資の形態として、債務者を振出人、自分を受取人とする約束手形(単名手形)を徴求し、期日が到来するたびに書替継続を無期限に繰り返すことがある。これを単名のころがしという。単名のころがしというのは、経常運転資金のための融資として実行されるのが本旨であり、継続企業として、この運転資金は無期限に回転し続けるものなのだから、融資も無期限であることは理に適っているのである。ただし、重要なこととして、銀行等は、漫然と機械的に書替継続するのではなく、厳格な債権管理を行い、適宜、適切な対応を行わなければならない。 年金基金等の機関投資家は無期限の資産運用を行っているが、その課題は、第一に、毎期の利息配当金収入等の安定的稼得であり、第二に、毎期現金化してくる資産の再投資を長期の視点においてなすことである。そして、この定期的に再投資を繰り返すということは、期間の差こそあれ、単名のころがしと本質的な差はない。つまり、機関投資家にとっては、個別案件の静態的な長期性よりも、常時、全体としての投資資金が利息配当金収入や投資回収によって現金化し続けているという動態的な短期性のほうが重要なのである。

関連記事