信用創造

2017/02/09更新

銀行に預金100があるとし、そのうち20%を支払準備として留保して、80を企業に融資すれば、その企業の預金口座に入金されることで、預金が80増加し、更に、その20%を留保して、64を別の企業に融資すれば、預金が64増加する。これを無限に続けると、預金総額は、100を20%で除した額、即ち、500になる。この預金と融資の相互規定的な累増効果が信用創造である。信用創造は銀行だけの機能、より厳密には、預金だけの機能なのであって、ここに銀行の本質がある。 この機能は経済成長段階では重要な役割を演じたが、経済成長率が低下し、蓄積過剰となった段階では、もはや不要というよりも有害になるので、金融構造の改革が求められる。今まさに金融庁主導で銀行機能から資本市場機能への転換が始まっている。現在の金融行政の最重点課題は、明確に、貯蓄から資産形成への転換とされ、預金の増大を目指してきた銀行に対しては、具体的に、預金から投資信託への転換を促している。投資運用業界には、「顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)」の徹底を図り、ガバナンス改革を通じ、また、融資を超える高度金融機能の提供により、産業構造革新を実現し、もって国民の資産形成に寄与することで、経済厚生の増大に貢献しなければならないという重責が課せられるということである。

2016/09/08更新
預金を原資とした融資は、当然に、債務者の預金となることで、預金の増幅をもたらす。これが、信用創造機能である。 預金というのは、決済機能、貯蓄機能、信用創造機能を密接不可分に統合した極めて高度なものであり、この信用創造は、 経済成長のための原資を効率的に供給するものとして、非常に有効であった。 しかしながら、信用創造機能は、超成熟経済のもとでは、預金余剰なので、有効性は消失し、貯蓄は、全く魅力のない預金から、 資本市場へ移転していく。このような背景のもと、銀行経営は大きく変貌する。リスクアペタイトフレームワークのもとで、 各銀行は、自己の顧客基盤を徹底的に見直し、顧客の視点で、本源的リスクテイクの対象を見出していくことになるのである。

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