価値向上のための対話

価値向上のための対話

著者 日本証券アナリスト協会
出版社 日本経済新聞出版社
発行日 2017/06
 本書では投資家と企業間における意味のある対話とは何かということを12の事例を通して学ぶことができます。取り上げられている事例は、投資家側のアナリスト、証券会社側のアナリスト、対話をする企業側の3つの視点で構成されています。
 
 投資家側のアナリストは投資判断の根拠となる数値を算出する必要があるため、非財務情報を含めた、数値算出の前提となる議論を深める姿勢が伺えます。証券会社側のアナリストは、自分たちのネットワークを通じて、多面的に意見を交換することを強く意識しているように感じました。また、企業側からは長期的な視点を持った投資家に納得したうえで出資をしてもらうためにはどうすれば良いか、というようなそれぞれの立場で大きく視点が異なっています。

 本書は全体的に抽象論ではなく、具体的に理解でき、行動に移せるようにすることを目的として編集されています。本書で取り上げられている事例の中でも、オムロン株式会社のIR活動への取り組み方は特に参考となりました。
 オムロン社はIR活動を企業と投資家が意味のある対話をするための前提であると捉えています。具体的には、明確な投資家像を持って長期的な視点での経営を維持できるようにすること、不測の事態を想定した多面的な情報開示を行うこと、社内外コミュニケーションを一致させることの3点を意識してIRとしての情報発信に取り組んでいます。

 このように、企業と投資家の間で実際に対話を行う方々の事例を豊富に取り上げているため、多くの学ぶべき点があります。そのため、本書を何度も読み返すことで理解に深みが生まれ、新たな気付きを得られるのではないかと思います。

この本を紹介した人

HCアセットマネジメント株式会社

2017年にHCアセットマネジメント株式会社に新卒で入社。 ポートフォリオマネージャーのサポートに従事。 高崎経済大学 経済学部 卒業。


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