破天荒な経営者たち : 8人の型破りなCEOが実現した桁外れの成功

破天荒な経営者たち : 8人の型破りなCEOが実現した桁外れの成功

著者 ウィリアム・N・ソーンダイク
出版社 パンローリング
発行日 2014/1/20
原題:The outsiders : eight unconventional CEOs and their radically rational blueprint for success
 当社では、投資先のCEOの方に、この本を進呈しています。この本では驚くほど高い利回りで一株当たりの企業価値を成長させた8人のCEOが紹介されています。まず、この8人に共通しているのは、経営目標を単なる規模拡大におくのではなく、あくまでも一株当たりの企業価値の長期的な成長に置いている事です。また、事業運営は徹底的にその権限の委譲を行い分散化する一方、資本の配分はCEOに徹底的に集中させるという点も共通しています。資本配分に関して、自社の価値を理解し、株価が割高の時は資金調達やM&Aを行い、株価が割安なときは徹底的に自社株を買います。また、既存事業に関しても、一定のリターンを上回るときだけに設備投資を行い、逆に黒字事業であっても、一定のリターンを達成できない事業は売却、撤退します。このような人と資金の効率的な配分を徹底する事で、これらのCEOは在任期間中に100倍を超えるような一株当たりの企業価値成長を実現しています。
 本の第1章で紹介されているのはテラダイン社の創業者・CEOのシングルトン博士です。シングルトン博士は、コングロマリットがもてはやされていた時に、割高な自社の株式を使い、130社を買収しました。そして、その後、自社の株価が低迷すると、発行済みの90%を自社株買いで買い戻しました。その結果、任期中に一株当たりの企業価値を約180倍にも成長させています。  
 正しい資本配分と複利が長期的にもたらす効果を理解する事は、日本企業の経営者や投資家にとって非常に有益な本であると考えています。

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この本を紹介した人

安 治郎

株式会社ヴァレックス・パートナーズ
ポートフォリオ・マネージャー、代表取締役

2006年にヴァレックスを設立。2006年から同社が助言するケイマンファンドVPL-I Trustのポートフォリオマネージャーを務める。 ヴァレックス設立前は、ファースト・イーグル・インベストメント・マネージメント社のシニア・バイス・プレジデント。1996年から1998年、米国大和證券の米国株式部に在籍。慶應義塾大学経済学部卒業。米国証券アナリスト資格(CFA)保有。 安氏は十字屋ホールディングの取締役、藤井酒造の取締役、ファースト・イーグル社に対するコンサルタントも務める。